教育福島0183号(1994年(H06)11月)-006page
提言
一つの教育論
(カキクケコ)
福島県文化功労賞受賞者
石河清
【著者紹介】
石河清・いしかわきよし
〔略歴〕
昭和三年 いわき市常磐湯本町に生まれる。現在六六才
二十六年 国立音楽大学音楽教育科卒業
三十年 福島県立福島高校教諭
四十年 国立音楽大学専攻科入学
四十一年 福島県立磐城高校講師
四十二年 郡山女子大学短期大学部音楽科講師
平成二年 郡山女子大学短期大学部音楽科教授を経て退職
きょうは”カキクケコ”を頭に考えを述べてみよう。
『カ』 感激と感動と
便利なものへの変化はめまぐるしいものがある。その早さも……。特に電子機器先端技術の進歩は私たちの生活を一変した。ファミコンもその一つ。久し振りに帰って来た孫もファミコンを離さない。子供たちへの受難も後を断たない。止まることを許されない時代の早さと変化だ。しかし子供たちの真の感激との出逢いや行動、覚醒される情動作用の中から感動にまで高められるような知的情操、宗教的情操、芸術的情操そして科学的情操らの体験が以外と少ない。月二回土曜休日が実施されようとしている時、もう一度感激と感動を伴う子供たちの情動作用を考え直してみては、心の時代というけれど……。
『キ』 基礎力にもう一度光りを
先日ある旅行の感想文を書いて貰った大学生。誤字が多いのにびっくりした。思わず笑ってしまう。これを見て思うにやはり小・中学生や高校生にしっかりとした基礎的能力、誤字脱字のない指導、ワープロなどを使用して正しい言葉の表現や書き方をもう一度徹底すべきではないか。急いで先へ行くより、じっくり足元をみつめること、今の日本はすべての事で急ぎすぎる。地につくこととはどういうことであろうか。繰り返すこと、繰り返す基礎を!せめて辞書の一冊は机の上におきましょう。
『ク』 工夫と創意と
便利な品物があまりにも氾濫している昨今、その物に依存度が高いのは仕方がない。しかも自ら工夫する能力が退化するの