教育福島0183号(1994年(H06)11月)-048page

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教育ひと口メモ

「養護・訓練」

養護教育課

 

1 「養護・訓練」とは

様々な原因によって、思考や言語、情緒、運動・動作、視覚や聴覚、健康面などに何らかの障害がおきたため、学習や日常生活に不自由や困難を伴う子どもたちがおります。これらの子どもたちに対する特別な教育を、本県では「養護教育」と呼んでおり、その場として盲学校、聾学校、養護学校、小学校・中学校の特殊学級・通級指導教室があります。

これらの場で学ぶ子どもたちは、小学校や中学校の指導の領域である各教科、道徳、特別活動だけでは十分な教育効果が期待できません。そこで、特別な配慮のもとでの特別な指導の領域である「養護・訓練」が必要となってきます。

 

2 「養護・訓練」の変遷

以前から盲学校では点字の本を読むための「点字教育」、白杖を使っての「歩行訓練」等が、聾学校では保有する聴力を活用して、意思を伝え合うことを学習する「聴能訓練」や「発語指導」等が、さらには、肢体不自由養護学校では「機能訓練」、病弱養護学校では慢性の病気を理解させ、健康になるための生活管理ができるように「養護」という特別な指導が行われておりました。

こうした経緯を踏まえた上で、心身障害児の全人的な発達を促し、社会によりょく適応していくための資質を養うために必要な内容として、昭和四十五年の盲学校・聾学校・養護学校学習指導要領の改訂の際、四つの柱一表.参照)十二項目にまとめ、これを「養護・・訓練」として教育課程の中に位置づけました。

その後、養護・訓練の内容は、昭和五十四年の学習指導要領改訂ではそのまま踏襲されましたが、平成元年の改訂では、障害の多様化に対応するという観点から、具体的な指導事項をイメージしゃすいように五つの柱(表参照)十八項目に再構成されました。

 

3 養護・訓練の生格

養護教育におけるいわゆる「準ずる教育」の部分は、各教科及び道徳、特別活動の三領域の指導に該当します。各教科等はその目標達成のための知識や技能を、主として学年別に段階的に配列して指導しております。

これに対して、養護・訓練は人間としての基本的な行動を成し遂げるために必要な能力の習得を意図したもので、それらすべての内容を順序立てて指導する性格のものではありません。一人ひとりの子どもたちの能力、障害の状態、発達の偏り等を踏まえて、必要とされる内容を取捨選択して指導するものです。

また、養護・訓練は障害の改善・克服を目標としておりますが、ここで指導の対象となるのは、児童生徒の心身の障害の原因ではなく、障害による困難な状態の改善・克服であります。

 

4 養護・訓練の教育課程への位置づけ

指導の方法としては、週時程に位置づける方法と、学校の教育活動全体の中で個人ごとのねらいを設定し配慮しながら行う方法があります。いずれにしても養護教育においては、欠かせない指導の領域となっております。この一人ひとりの障害の改善・克服に関する記録は、学習指導要録にも記入するようになっております。

 

5 精神薄弱児の養護・訓練

精神薄弱養護学校や特殊学級では、発達の遅れよりは、精神薄弱障害に随伴して表れる言語機能、感覚・知覚、運動機能、情緒・行動などにおける発達の「偏り」への対応が、養護・訓練の内容として取り上げることになります。

 

養護・訓練の内容構成の比較

 

 

 

 


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