教育福島0186号(1995年(H07)04月)-049page
博物館ノート
縄文時代の住まい
竪穴式住居
福島県立博物館の総合展示「原始」の部屋の中心的な展示物のひとつに堅穴式住居があ
ります。この住居は今から約四千五百年前、縄文時代中期の東北地方南部における典型的な住まいを復元したものです。柱の位置や大きさは二本松市塩沢上原A遺跡十二号住居跡の発掘調査の成果をもとに製作され、炉は実物を移築しました。
堅穴式住居の最大の特徴は床が地面を堀りくぼめて造られている点にあります。このような構造の住居は東北地方では平安時代まで造られ続けます。土の温度変化は外気の温度変化よりも小さいため土の壁を造る方が保温に適していたのかも知れません。住居の中央には大きな炉が造られています。土器を埋めた部分と石囲いの部分があることから「複式炉」と呼ばれています。
堅穴式住居は「原始」の中でも子どもたちに人気のある展示物です。「みんなの家とどこが一番違うかな」「クギが使われていない」、「僕の家よりは狭い」、「ウサギがつるされている」などさまざまな答が返ってきます。テレビ、冷蔵庫はもとより、照明器具さえもない中で、夕食後どのような家族の会話があり、どのようにして時を過ごしたのか、情報の氾濫する時代を生きる現代の子供たちの新鮮な興味をそそるのかも知れません。
二本松市塩沢上原A遺跡12号住居跡
竪穴式住居
竪穴式住居内部