教育福島0188号(1995年(H07)07月)-006page

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提言

ボランティア活動を教育活動に

心 そして 生き方と在り方の学び

 

福島県教育センター所長

 

福島県教育センター所長

永山三郎

 

 

先月会議のため東京に赴いた。時は通勤ラッシュの真っただなか。秋葉原で乗り換え人波の勢いに翻弄され、電車に吸い込まれるように乗り込んだ。危うげな高齢の老夫婦が乗り合わせ、停発進のたびに押しつぶされはしないかと気掛かりであった。

着席の三人の女子高校生もそのことに気づきながらも、席を譲ることに躊躇している様子がうかがわれ、″どうか勇気を出して席を換わってほしい≠ニ私は念じた。そして市ヶ谷付近、女子高校生が意を決したように立ち上がり、老夫婦に……とつげた。その頬は上気し、ほんのりと染まっていた。

 

ふと、以前に読んだ新聞の投稿記事を思い起した。

それは今回のような好意に感激し、当該高校に感謝の書状を認めたことに対する、女子高校生からの気遣いの返書であった。

「これまでの私は、困っている人を見て手助けしたいと思っていても、周りのことが気になり実行できなかった。しかし今度は自分の気持ちに素直に、他人のために役立てたことで勇気と自信が持てました。今回のことは私の方から感謝したいくらいです。」というような文面であったと思う。

この投稿から成人まじかの高校生が、称賛に値する好ましい行為をするにも、大変な勇気と強い意志の力がないと、他人への思いやりを実践できないのだなと、このような道徳的実践力を培いたいものだと、心に重く受けとめたところであった。

 

昨今、いじめや生命を軽視する事件が連日マスコミを賑わわし、心の教育について学校教育の在り方が問われている。

これまでの経済発展の基盤となった人材育成に学校教育は大きく貢献してきた。一方人間としての生き方や在り方の教育も、昭和三十三年以降一貫して学校教育全体を通して行い、道徳的実践力を培ってきた。現行の小中学校でも「各教科」「道徳」「特

 

 

 


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