教育福島0189号(1995年(H07)09月)-014page

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高校の訪問どちらかに参加する。

 

4 進路相談部

 

自己診断ができるための進路情報の提示と進路相談

 

(1) 計画立案に当たっての基本的な考え方

社会生活について、職業という観点から広く考えさせ、自分に合った進路を選択していく力を養うことをめざしている。様々な職業を知り、職場で働く人々の考えを知り、実際に職業を体験・見学し、自分なりの職業観をもたせる。また、職業の特性と自分の適性を比べながら、自分の進路を考えていく機会を設定し、体験した内容を検討してまとめ、総合的に自分の進路を決定する力を育てる。

そのためにも、教師と生徒の人間関係を大切にし、親密に話せる進路相談の機会を設けるとともに、生徒が自己判断できる進路資料の提供を行っている。

(2) 研究計画と実践

1)自己分析、自己理解のための資料の収集と提供

 

進路適性検査の実施

 

自己理解と自己の職業適性について客観的な資料を得るために実施している。内容的に職種分類が細かくなっているEPICを活用している。対象は三年間の進路指導の流れを考えて、第二学年で実施をしている。実施後は、学級活動の資料としたり、進路相談の資料として活用している。

〇二年生で実施する。

〇個票は、「進路の記録」に貼付して活用する。

 

進路コーナーの設置

 

生徒が必要な時に、必要な進路資料を提供するために、図書閲覧室の中に進路に関する資料を置き、自由に活用できる場を設置した。資料は、職業を紹介する本やカード、高等学校の紹介資料、高等学校で実際に使用されている教科書、過去の入試問題等とする。

2)進路選択のためのデータの蓄積と提示

 

校内実カテストの実施

 

本校独自の進路指導用資料として実力テストを実施している。過去の入試問題(全国)を参考にして、各教科部会で問題作成をしている。実施後の採点は全職員で行い、集計し、生徒に提供している。

A−このまま続けよう!(追跡資料で、ほとんど合格している)

B−まだ努力が必要です!(合格者と不合格者の両方がみられ、安心できない判定です)

C−このままでは危険です!(ほとんど合格者が出ていないところです)

このような学力面の資料提供も行い、受験をより現実的なものととらえ、総合的な自己判断をもとに進路の実現に向けての努力を重視している。

3)蓄積されたデータに基づいた進路相談の実施

 

進路相談

 

定期的に年間二回(夏休み・二学期末)の三者相談の形で実施している。様々な進路に関する活動の総合的な評価と指導の機会でもある。そこで、生徒の内面を探るためのアンケートを実施し、評価と指導を行っている。また、その資料は学年毎に集計し、学年生徒の全体の傾向を把握している。また、生徒が積極的に相談を求めているときには、随時行っている。

 

五 実践成果と今後の課題

 

1 実践成果

(1) 一年から三年までの三年間を見通した進路指導の計画ができあがり、全校体制で進める基盤ができた。

(2) 「進路の記録」等で生徒の変容をとらえているが、実体験を通した活動は、生徒が直接自分の手で情報を集めるので、意識を高めたり、生き方についての考え方を育てるのに有効であることがわかる。

(3) 地域の教育力としては、様々なものがあるが、直接的にはたらくものとして、やはり保護者の力が大きかった。保護者の協力により、職業体験の事業所選定や学級活動での指導等の連携の在り方にも見通しがもてた。

(4) 卒業生は、中学時代に体験発表会の経験があるので、発表を依頼してもスムーズに受け入れており、卒業後の追指導にもつながっている。

 

2 今後の課題

(1) 生徒が自らの生き方を考え、主体的に進路選択ができるようにするため、自己理解や職業観についての指導の充実を図り、個別指導や学級経営の充実、家庭との連携等、多くの内容を実施している。今後は、継続の必要な活動とそうでないものを吟味していく。

(2) 対外的な協力体制をと,ながら、進めていく活動については、更に効果的にすすめるための計画に改善する。

 

前回(7・8月号)の研究実践の紹介は、会津若松市立第二中学校でした。

 

 

 


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