教育福島0189号(1995年(H07)09月)-031page

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特集3

 

市町村における生涯学習への取り組み

生涯学習モデル市町村事業を中心として

生涯学習課

 

一 はじめに

 

生活水準の向上、自由時間の増大、高齢化の進行等を背景として、人々の生涯学習への関心が高まっており、県民一人ひとりが、いつでもどこでも、生涯の各時期に応じた学習活動ができるよう、生涯学習支援体制の整備や学習の場の拡充など、生涯学習の基盤の整備を進めていくことが求められています。

県では、昭和六十年に副知事を本部長とする生涯教育推進本部(現在の生涯学習推進本部)を設置し、生涯学習に関する事業の総合的な企画・調整及び推進に関することや生涯学習関係機関及び関係諸国体との連絡・調整に関すること等を任務としてその推進を図るとともに、平成三年には、東北で初めての生涯学習審議会を設置し、市町村関係者、学識経験者、民間教育関係者、各種団体関係者等の二十名からなる委員の方々に生涯学習に資するための施策の総合的な推進に関する重要事項について調査審議をいただいております。(表1参照)

また、県教育委員会では、これからの生涯学習社会への本格的な移行に対応するため、県内の市町村を生涯学習モデル市町村に指定するとともに、市町村の生涯学習の振興を担う専門的な職員の設置を促進するなど、生涯学習を進めるまちづくりを推進しております。

 

二 生涯学習モデル市町村事業について

 

(一) 生涯学習のまちづくりについて

最近、「生涯学習のまち宣言」や「生涯学習都市宣言」など、いわゆる生涯学習を標榜するまちが全国各地に見られるようになりました。(本県では高郷村、熱塩加納村、原町市、田島町の四市町村)

生涯学習のまちについての定義は特にありませんが、端的に言えば、地域ぐるみで生涯学習に取り組む体制のあるまち、といえます。

従来から行われてきた社会教育の地域に対する取り組みと生涯学習のまちづくりの取り組みの違いは、一つには、その推進する領域は、生涯学習のまちづくりの方がより広くかつ総合的と言えます。二つには、生涯学習は、人々の自主的・自発的なものであり、その学習の内容、手段、方法も学習者が決めるもので、学習者の視点に立った考えです。このため生涯学習は、社会教育と比べると、組織的なものと言えない個人的な学習といったものもその対象となり、首長部局において特定の行政目的のために行われる事業もその対象と考えられます。

また、生涯学習のまちづくりにおいて、学校教育も生涯学習の観点から、学社連携の要請が強く求められており、生涯学習のまちづくりの中で検討される重要事項と考えられます。

言うまでもなく、生涯学習は、各人が自らの意志で、自己の充実や生活の向上のために必要に応じて、自己に適した方法で、生涯を通じて行う学習ですが、これらの学習を進めるためにも、学びやすい条件が整っていることが必要です。もちろん、基本的には、一人ひとりに学ぶ意欲がなければなりません。その意欲を啓発し学ぶ環境を醸成するためには、広報や啓発事業が必要です。そして生涯学習のまちというからには、少なくとも、「学習機会が十分に提供されていること」、「生涯学習関連施設が十分に整備され、活用されていること」、「社会教育団体、グループ活動が充実していること」、「情報提供、相談体制が整備されていること」等の条件が必要と考えられます。

(二) 生涯学習モデル市町村について

本県では、昭和六十年度より「生涯学習のまちづくり」を全県的に普及するため、生涯学習推進体制や学習基盤の整備を総合的に実施する市町村を「生涯学習モデル市町村」として指定するなど、その経費の一部を補功して参りました。(昭和六十三

 

 

 


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