教育福島0189号(1995年(H07)09月)-045page

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ル」、「イヌ、ダメ」など簡単な二つの単語を組み合わせて話すことができるようになります。これが、二語文といわれるものです。

2歳から3歳ぐらいには、使用する単語の数が急激に増加し、3歳から4歳にかけて会話が成り立ち、ほぼことばとして完成していきます。

このようにして、ことばは発達していくのです。現在私たちが意識せず使っている「ことば」もこのようにして生まれ、育ってきたのです。もちろん、一人一人の姿形が違うように、ことばの発達にも個人差があることは言うまでもありません。

 

三、ことばの遅れ

 

ことばの発達に個人差があることは、すでに述べました。では、「ことばの遅れ」をどのように考えていったらよいでしょう。

「ことばの遅れ」とは、子どもがある年齢に達しても、年齢相応に、ことばを理解したり、使用したりすることができない状態をいいます。それは、ことばの数が少ない、言いたいことをことばで表せない、話そうとしない、ことばがつながらない、人の話に関心を示さない、口数が少ないなど、いろいろな遅れの症状を示します。

しかし、一番大切なことは、「ことば」だけに目をむけるのではなく、子どもの発達全体に目をむけるということです。「ことばの遅れ」は他の発達が順調であれば、現在ことばが出なかったり、語彙が少なかったりしてもそれほど心配する必要がない場合もあります。

このことは逆に、ことば以外の面にも、遅れが見られれば、知的な遅れや、情緒障害、または発声・発語器官やその働きの障害など、他の要因についても合わせて考えていかなくてはならないということです。

「ことばの遅れ」に及ぼす要因には次のようなものが考えられます。

〇 聴覚障害

〇 自閉症等の対人関係の障害

〇 知的発達の遅れ

〇 情緒障害等の情緒的問題

〇 過保護・放任等の言語環境の不適切

〇 脳性まひ等の発声発語器官の運動障害

 

四、ことばを育てる援助

 

では、「ことばの遅れ」がある子どもにはどのような援助が必要なのでしょう。ここでは環境による「ことばの遅れ」への援助を中心に述べていきます。

「ことばの遅れ」を引き起こしやすい言語環境には次の様なものが考えられます。

(1) ことばの刺激に乏しい環境

周囲から話しかけられたりすることもなく、まわりの人のことばが少ない。

(2) ことばの必要性に乏しい環境

周囲の人が意思を読み取って、子どもの代わりに話してくれたり、欲求を満たしてくれる。

(3) ことばの学習意欲を阻害する環境

話そうとしても聞かなかったり、言い間違いなどを過剰に修正したりする。

このような不適切な環境に留意しながら、家庭においては、母親や家族との心と心がかよい合う関係を作りながらかかわっていくことが大切です。子どもとのかかわりの中で次のようなことを心がけていけばよいでしょう。

1) 子どもの生活にきちんと付き合うこと

2) 子どもの気持ちに共感すること

3) 子どもの側に立って物事を見ること

 

おわりに

 

子どもがことばを獲得しやすい環境は、家族をはじめ、周囲の人々、みんなで作っていかなくてはならないのです。ことばは、他の子どもと比べたり、発達年齢と比較したりしやすいので、少しでも他の子との違いがあると、家族はとても気になり心配します。

でも、「ことばの遅れ」だけでなく、他にも遅れがあるとすれば、その原因に合った援助をしていかなくてはなりません。その原因によっては、医療機関など、専門機関との連携を図ることも重要になります。

 

 

 


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