教育福島0191号(1995年(H07)11月)-027page

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ひらめくこともある。

朝の道は、短学活で話す内容を考える。…昨日の遠足では班長がよく動いてくれた。A君は違った意見の間に立ってよくまとめてくれた。班員とはぐれてしまったBさんは、その際の約束通りの場所で待ち合わせ、やっと合流できた。よくやった。今日の意欲につなげよう。…放送の次のアナウンスも気になった。

「…があるので、必ず集合してください」

別に敬体と常体の統一ということを述べるつもりは毛頭ない。人に何かを依頼するときにはそれなりの言い回しが必要であろう。依頼するきっかけとなる事柄の陳述に常体はなじまない。機会があれば…。

帰りの道は、一変して自省の念に駆られることが多い。まず何人かの生徒の顔が浮かび、その日の出来事が次々と出てくる。あのときの声のかけ方は困惑させたかもしれないな。ときには電話ボックスを探すことになる。…十月の合唱コンクールの練習にも少しだけ熱が入り、C君の「先生、教室でも練習をやらないんですか」やっとここまで来たと思ったが、その言葉を生かすことができなかった。…話し合いがうまくいき生徒が見せた満面の笑みに充実した気分になることもある。さらに、自分の来し方をふり返り、これからすべきことを考えるのも楽しい。昔やりかけで、挫折してしまったことなど少しでも実践しようと念じる。

教師の道を選択した私にとって確たる一つの道を歩いている、と感じる。しかし、その都度二つの道が見えかくれするのだ。朝の道、帰りの道は、一本の道にすぎないが、真摯に見つめる景色はやはり違う。朝、外に向かった目は、帰り自分の内に向けられる。二つの道、今の私にとってそれは自分の心の振幅から、おぼろげながらも見える道である。

(いわき市立植田中学校教諭)

 

新世紀に生きる子どもを育てるPTA活動

成田介

 

に月一回で導入され、平成七年四月からは月二回に拡大され実施されています。

 

社会の変化に対応し、ゆとりと生きがいのある生活の中で子どもたちの望ましい人間形成を図ることを目指してスタートした学校週五日制は、平成四年九月に月一回で導入され、平成七年四月からは月二回に拡大され実施されています。

今後、子どもたちの生活は、学校で過ごす時間が減る分、家庭や地域社会で過ごす時間が増加していくことになります。そうなれば、当然、家庭教育の充実と社会教育を含めた学校外活動の充実が図られる必要があります。

私どもPTAとしましても、生涯学習という広い視野に立ち、学校週五日制の目指すところについて役割を模索し、検討を加えてきたところであります。

日頃のPTA活動や各地で開催されましたPTA研究大会等の中で共通して話題になりましたのは、生涯学習社会を見据えた新たなPTA活動の展開と家庭教育の充実、そして、学校・家庭・地域社会の三者による連携協力についてであります。

変化の厳しいこれからの社会に生きていく子どもたちにとって一番大切なことは何か、どのような力を身に付けさせていったらよいかを考えたとき、それは、知識だけにとどまらない、新しい課題に対して自分なりに判断し、解決していくたくましい力であります。

そのためには、様々な体験を通して自分の力で判断し、解決していく活動を多く設定しなければなりません。地域にある各種施設や職場、各家庭などにおいて、お年寄りや障害者、乳幼児などの年齢や立場、境遇の違う人々との交流を通し、学校だけでは得られない豊かな体験をもつように配慮していくことが求められます。

こうした活動を、学校だけに依存することなく、学校、家庭、地域社会のそれぞれが、様々な活動を工夫し、子どもたちが自ら進んで参加するように働きかけていくことが大切です。

保護者自身としても生涯学習の視点に立ち、自ら学び、よりよい自己実現を求めながら、新世紀を創造できるたくましい子どもを育てるよう努めたいと思います。

同時に、学校週五日制を初め、今後の教育の動向にまつわる課題をPTAの会員一人一人が理解を深め、親としての自覚を高めて親子のふれあいを大切にしながら、子どものよりよき人間形成のために新たなPTA活動を展開していきたいと思います。

(会津若松市父母と教師の会連合会会長)

 

 

 


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