教育福島0192号(1996年(H08)01月)-044page

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図書館コーナー

平成七年度

福島県公共図書館の動向

 

県立図書館でもコンピュータ導入の話が具体的になってきました。今年度になりシステム設計を始めてからは、あれやこれやと図書館内、尻に火がついたという感じで、コンピュータの話が話題に上らない日はないという状況です。

県内市町村でも郡山市、会津若松市など歴史のある大規模図書館ではコンピュータが稼働し、いよいよ電算化が進んできたというところでしょうか。

 

・期待の星、東村新図書館

さて、県内での図書館の話題は、コンピュータ一色のようですが、もうひとつ、東村に新しい図書館ができたということもあります。

県南地方は、関東に近いということ、教育事務所の指導によって公民館の読書活動が総じてよいことなどから、このところ毎年のように町村に図書館が建設されています。県内市町村の図書館設置率は二四・四%(町村一五%)であるのに比して、県南だけでみると五〇%(町村四五・五%)に達し、今後もさらに未設置の町村で図書館建設への動きが感じられる地域です。

東村は、公民館図書室時代から良質なサービスを展開していましたが、新図書館は、この資産をうまく受け継いだ、県内では唯一の移動図書館を有する村立図書館です。

近年は、モータリゼーションの普及により本館が感覚的に近くなったこと、価値観や趣味の多様化や出版点数の増加により多くの資料を準備しないと利用者の要求に応えられなくなったこと、婦人就労率の向上により巡回時に在宅者が激減したこと等により、多くの図書館で移動図書館の利用の低調がみられますが、町村においては、今でも移動図書館が大きな武器であることに変わりはありません。

東村図書館が大きな成果を出せば、これからの県内町村の図書館建設への弾みとなることも予想されるため、いわば、東村図書館は福島県図書館界の期待の星なのです。

 

・資料費と貸出実績

ところで、一般に不況になると、図書館の利用が伸びるといわれています。その理由は、はっきりと解ってはいませんが、本を買うのを控え、借りる割合を大きくする人が全体的に増えてくることが要因のひとつのようです。

しかしその現象も、図書館によっては最初のうちだけというところが出てきます。

つまり、不況によって図書館の資料購入費を減らすと、新しい魅力ある資料が少なくなり、利用も減るというわけです。

図書館の資料費は、平成五年度の一二、六九〇千円をピークに平成六年度一〇、六二九千円、七年度一〇、五二五千円と二年連続で減少しており、登録者数が平成五年度八、五五三人から平成六年度一〇、〇九二人と大きく増えているにも関わらず、図書の貸出冊数は、資料費に連動するかのように平成五年度一二五、八九七冊、平成六年度一二五、二三一冊とマイナスに転じています。

図書館別でみても、平成六年度に貸出が前年度比で一〇%以上減少した館(A市二〇・七%減、B町二四・五%減、C町一六・〇%減)はいずれも資料費が前年度比で一〇%以上削減されています(A市三五.五%減、B町六五・六%減、C町一八・五%減)。

しかし、資料費をしっかり確保し、サービス向上に努めている図書館は、着実に利用を伸ばしています。

事実、全体の半数以上である十二の市町村の図書館において、全体の貸出実績を伸ばしていますし、本館の個人貸出に至っては十四市町村で伸びています。

また、図書館未設置の公民館図書室でも同様の傾向がありますが、やはり、図書室の活動の活性化に努め、資料費の確保に努力しているところでは著しい伸びを示しています。

情報化・高齢化・地方化の時代、余暇の増大、そして不況というように図書館が求められる要素はますます増大してきています。

こういう時代だからこそ、住民は図書館を利用したい。サービス充実のための図書館の努力は一層必要となってきているのです。

 

 

 


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