教育福島0192号(1996年(H08)01月)-051page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育福島0192号(1996年(H08)01月)-051page


教育・イン・ザ・ワールド

−ゴッホのまち、南フランスのアルル市を訪ねて−

国際化にふさわしい教育の話題をシリーズで紹介する「教育・イン・ザ・ワールド」。今回は、平成7年度教員海外派遣福島県第71団の一員として、フランス、オーストリア、ドイツ等の教育文化施設を視察された斎藤幹夫先生1福島西高校)からのリポートです。

フランスでは地中海に面した南フランスのプロヴァンス地方にあるアルル市を訪問しました。この地方はローマ帝国とも関わった歴史のあるところで、市内にも円形闘技場など数多くの遺跡が残っている町です。また偉大な芸術家たちが多数の作品を生みだしたところでもあり、ゴッホはここを舞台に、「ひまわり」「アルルの跳ね橋」「アルルの女」などを描いています。

私たちはここで幼稚園から高校までの学校を訪問しました。幼稚園も小学校も1日の授業で、午後は情操教育に力点をおくなど午前と午後の内容に工夫がされています。小学校では校庭が狭く、体育館とは呼べそうにない場所で体育の授業が行われていました。学校5日制の影響もあってか、終業時間(午後5時前後)の遅いことには驚きました。そんな中で、子どもたちの元気な姿が印象的でした。中学校ではバイク通学の生徒がおり日本との大きな差を感じました。また、昼休みが長く家庭で昼食を取ることが許されているなど、責任の所在が明確なのだと思いました。

高校は日本でいう普通科にあたる高校(一般リセ)、技術専門高校(技術専門リセ)さらに職業訓練校的な職業高校(職業リセ)があります。どこへ進学するかは、希望もありますが中学校での成績が大きく影響してきます。いわゆる輪切りが徹底しているのです。普通高校、技術専門高校の生徒たちは卒業年度になると大多数がバカロレア(大学入学資格試験)を受けます。バカロレアは文学・科学・経済など数10種類に及び、全国共通の問題で実施され合格するか否かでその後の人生が左右されるとまで言われ、生徒たちは大変真剣でした。中学、高校と進むにつれ、各自の進路や生き方に対して自ら考え自ら学ぼうとする態度・意欲が強く要求されているのだと感じました。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。