教育福島0194号(1996年(H08)04月)-008page

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特集 道徳教育の推進

●豊かな心を育む道徳教育の充実

●(研究実践)平成7年度研究指定校における実践

●(特別企画)地域ぐるみの道徳教育の推進

−義務教育課−

 

豊かな心を育む道徳教育の充実

 

学校教育においては、現在、いじめ問題や人権問題の対応に向けて、思いやりや人間尊重、生命尊重にかかわる指導をいかに充実させていくかなど子供たちの心にかかわる教育の推進が強く望まれている。特に、人間関係において発生するいじめ問題への対応は緊急の課題であり、その解消に努めるうえで、新しい学力観に立つ道徳教育を一層充実させ、人間らしい豊かな心を育てていくことが極めて重要となっている。

これからの道徳教育では、子供一人一人が道徳的価値にかかわって人間理解、他者理解、自己理解を深め心を耕しながら、人間として、自らの生き方や考え方を見つめ、豊かな自己実現を図れるようにすることが大事になってくる。

各学校では自校の道徳教育上の課題解決を図るとともに、豊かな心を育てようとする特色ある実践がなされてきている。さらに、子供たちのよさや可能性を生かし、豊かな心を育む道徳教育が展開されるためには、次の点からの改善が必要となる。

○ 学校の教育活動全体で行われる道徳教育を構造的に捉え、道徳の学習が発展的、系統的に行えるよう多様で弾力的な指導を工夫する。

○ 道徳的価値にかかわって一人一人のよさや可能性を生かし、伸ばすための適時性のある指導を工夫する。

○ 道徳の時間との関連を図って道徳性の育成にかかわる豊かな体験の場の構成について見直しを図る。

各校においては、このような点にかかわる実践課題を明確にして、その改善を図っていくことが大切になる。

 

一 新しい学力観に立つ道徳教育の推進

 

道徳教育は、生涯にわたって心豊かに、主体的、創造的に生きていくために必要な資質や能力を調和的な人格の発達へとつなげる大切な役割を担っている。

そこで子供が主体的に学習環境に働きかけ、思考を深めながら自ら道徳的な価値を獲得できるような考えを重視しながら、豊かな自己実現を図れるよう適切に指導・支援し、新しい学力観に立つ道徳教育を推進することが大切である。

(1) 道徳教育で育てる資質、能力

道徳の内容項目は、人格の基盤となる道徳性の発達を調和的に図るために基礎・基本となることがらを四つの視点から示されている。道徳の学力は、この四つの視点を窓口として道徳的心情、道徳的判断力、道徳的実践意欲や態度といった道徳的実践力を培い、自らの価値体系を再構成し、ふくらませていく資質や能力と捉えることができる。価値体系の再構成は、生活する場すべてを通して行われるが、その中核となる道徳の時間の指導の充実が何といっても肝要である。

(2) 全教育活動を通して取り組む道徳教育の充実

道徳の授業のねらいである道徳的実践力を育成するには、道徳の時間だけではなく、各教科や特別活動さらには日常生活、家庭や地域社会での生活など全教育活動を通じて行う道徳教育と関連をもたせた指導を行うことが必要となる。したがって、学校教育における道徳教育を一層充実させるには、道徳の時間以外での道徳教育と、それらを計画的・発展的な指導によって補充・深化・統合する働きをもつ道徳の時間との関連をきちんと把握し、全体計画を十分生きて働くものにすることが大切である。

そこで、全教育活動を通して取り組む道徳教育を充実していくには、次の全体計画の機能を再検討し、自校の道徳教育総合プランを構想する

 

 

 


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