教育福島0196号(1996年(H08)07月)-018page
い愛情のもと児童生徒自らが育っていく過程を支援しながら、明るく高め合う学級集団を築き上げていかなければならない。
特に、児童生徒一人一人についての個性や家庭環境などを十分把握し、一人一人の願いや問題点、訴えなどに的確に対応できるようにし、登校拒否問題やいじめ問題に対して早期発見、早期対応ができるように努めることが重要である。
これらの問題の解決は、学級担任一人では困難を伴うことの方が多いので、学年あるいは学校としても対応策を講じるよう担任は働きかけることが大切である。
また、いじめ問題は生命尊重や人権問題に関わることを十分認識して、日常から道徳教育を中心とした「心の教育」の充実を図る必要がある。
(3) 新しい学力観に立った学習指導を展開する教師
児童生徒一人一人が学校生活や学級生活が楽しいと感じるのは、学習内容がよく理解でき学習していることの楽しさを味わえるときである。
学習の主体者としての児童生徒の側に立ち、一人一人の持つよさや可能性が発揮できるように支援し、その後の学習や生活に生き働く力として身につけさせることが大切である。そのために、指導技術の向上や指導方法の工夫に努めるとともに、個に応じた指導のあり方についても工夫し、日々の授業改善に努めていく必要がある。
(4) 教室環境の整備
教室環境は、児童生徒の学習と生活に様々な影響を与える。
これらが、学習や生活に適した環境となるように、学級担任は児童生徒とともに創意工夫して整備していく必要がある。
(5) 家庭との連携を深める学級経営
一人一人の望ましい人間形成のためには、それぞれの家庭環境を理解し、指導に当たる必要がある。そのためには、常日頃から家庭との連絡を密にし、相互の信頼と協力関係を確立し、共通基盤に立って教育活動を進めていくことが大切である。
八 進路指導の充実
1 進路指導のねらい
学校教育においては、生徒が自らの生き方を考え、将来に対する目的意識を持って主体的に自己の進路を選択・決定し、生涯にわたる自己実現を図っていくことができる能力や態度を育成することが求められている。
そこで、進路指導においては、生徒一人一人が主体的に自己の特性についての理解を深め、将来の学校や職業に関する情報を収集・活用し、進路に関する相談の機会を通じ、選択・決定できるよう指導・援助することが大切である。各学校では、進路指導の基本的な性格を次のようにおさえ、自校の実態に応じた手立てを講じる必要がある。
1) 生徒自らの生き方についての指導・助言であること。
2) 一人一人の生徒を大切にし、その資質や可能性を最大限に伸長する教育活動であること。
3) 学級活動を中核としつつ教育活動全体を通じて行うべきものであり、計画的、組織的、継続的に行われる教育活動であること。
4) 選択教科等の適切な選択や体験的な活動を通じて自らの個性を発見し、目的意識を持って、主体的に自己実現を図っていく態度を育てる教育活動であること。
5) 家庭、地域社会、関係機関との連携・協力が特に必要とされる教育活動であること。
なお、生徒の将来の夢や願いの実現のためには、基礎となる確かな学力を身に付け、多様な進路選択の可能性を高めることが大切であり、各学校においては、教育活動全体を通じて、なお一層、基礎・基本の定着を図る必要がある。
2 本来の生徒指導の推進
各学校では業者テストに関与しなくなったことに伴い、本来の生徒指導の在り方を探り、学級活動や進路相談を充実させ、生徒が主体的に進路選択できるよう、今まで以上に資料を収集したり、高校体験入学を促したりして、全体計画の工夫・改善を図ってきた。
今後は、単に業者テストを利用しないというだけでなく、これを契機に、本来のあるべき姿へと指導の転換を図る必要がある。「生き方の指導への転換」、「進学したい学校の選択への指導の転換」、「生徒の意欲や努力を重視する指導への転換」、「生徒の選択決定への指導の転換」という進路指導改善の四つの基本的視点を踏まえ、以下の内容に配慮して進路指導を推進することが大切である。
1) 進路指導適正化の推進を図る。
進路指導充実のためには、各学校において改善の趣旨の理解を深めるとともに、専任の進路指導主事を中心とした進路指導推進体制の一層の充実を図る必要がある。
進路指導は、進路指導の機能を補充・深化・統合する学級活動の中に適切に位置付け、三年間を見通して学校の教育活動全体を通じて行うものである。そのためにはまず、生徒の発達段階に応じて効果的に進める