教育福島0196号(1996年(H08)07月)-019page

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ため、学級担任や進路指導主事などの役割内容を明確にし、指導体制を整え、機能させることが大切である。

特に、指導計画作成に当たっては次の点に留意する必要がある。

ア 進路指導が進学指導のみに偏ることなく、啓発的な体験を重視して、人間としての「在り方」「生き方」を考え将来の社会生活、職業生活の中で自己実現が図れるよう、しっかりした人生観・職業観を育てる指導に努めること。

イ 一人一人の生徒の能力、適性、興味、欲求、性格などの総合的な理解に努め、それぞれの潜在的な資質や可能性を最大限に伸長するための進路相談を進めること。

ウ 各学年における進路指導の発展、系統を明らかにしてそれぞれの学年の指導に当たること。なお、各学校の進路指導を充実させるためには、高等学校の体験入学や職場見学・体験など、できる限りの啓発的な実体験を通して、正しい職業観や勤労観を育成することが大切である。

2) 保護者の理解を深める。

本来の進路指導は、保護者や地域社会とのかかわりの中で行われるものである。そのため、広報資料を作成・配布したり、保護者会などを通じて、協力して進路指導に当たるなど、継続的に共通理解を深めていく必要がある。特に、各種テストの結果は学力の側面的なものであり、生徒の進路選択に当たっては、生徒自らが判断する資料の一つとして活用すべきものであるということについて、保護者の理解を得るよう、十分に配慮していく必要がある。

3) 教員研修の充実を図る。

各学校の進路指導を推進するには教師一人一人が進路指導に対する理解を深め、進路選択の主体はあくまでも生徒であることを踏まえ、指導の力量を高めていく必要がある。

生徒の実態に即した適切な指導・援助に資するための教師のたゆみない研修が望まれる。

 

九 へき地・小規模校教育の充実

 

へき地・小規模校教育を充実するには、へき地という地域性からくる教育上の問題、あるいは小規模校、複式編制という条件や形態から生じる課題を十分に考慮し、適切に対応することが大切である。

例えば、季節的な特殊性や極小規模に起因すると考えられる主体的な学習態度の形成、豊かな表現力の育成が十分でないなどの課題が見られる。

学習指導要領の趣旨の実現のためにも、豊かな自然に恵まれたへき地や小人数の特性を生かせる小規模校のメリットを生かし、児童生徒の側に立った学習指導や個に応じた指導を進めるなど、へき地・小規模校だからこそ可能な教育の創造と実践が強く望まれる。

 

1 特性を生かす学校・学級経営

 

(1) 特性を生かす教育課程の展開

へき地・小規模校の特性をとらえ直すと、次のようなことがあげられる。

ア 児童生徒が少ないために、一人一人の個に応じた指導が行い易い。

イ 地域的に豊かな自然環境に恵まれ、それらを教材化したり、体験活動に生かしたりすることができる。

ウ 地域が学校に対して期待と関心を持ち、協力的である。さらに学校と家庭や地域との連帯感や一体感が強い。

エ 教員組織上、共通理解を図ることが容易で、一体となった指導体制作りがし易い。

したがって、へき地・小規模校においては、プラス面の特性を積極的に生かし、指導計画の作成や指導方法などについて具体的に工夫・改善を図り、教育課程を展開していかなければならない。

また、地域素材の開発に努めるとともに、児童生徒の実態に即して弾力的に指導できるよう、指導計画を改善していくことも重要である。

(2) 家庭、地域との連携を図る経営

地域住民の協力が得やすいへき地・小規模校においては、地域の人々の知識や技能を学校教育の中で積極的に活用するとともに、家庭や地域社会に積極的に働きかけ、その教育力が十分発揮されるよう配慮することが大切である。

(3) 他校との交流を図る経営

各学校では近隣との学校と学校行事や自然教室、宿泊訓練など合同で行ったりする活動を通じて児童生徒が幅広い体験を得て視野を広げ、豊かな人間形成が図られるように配慮する。大集団の中で自己を見つめ、協調性や向上心を育てることは重要である。

 

2 小人数の特性をふまえた授業

 

(1) 小人数をふまえた指導計画

へき地・小規模校では学習指導要領の趣旨の具体化を有効に図っていける条件を多く備えており、個に応じた指導がし易い。一人一人の児童生徒の特性をよく把握し、それを指導に生かすことが大切である。

ア 話し合い活動や集団思考の場を取り入れた多様な学習活動の工夫

イ 個に応じた学習課題の設定

ウ 学習コースの自由な選択

エ 自分の考えでまとめる時間の確保

(2) 主体的な学習態度の育成

複式学級においては、異学年との

 

 

 


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