教育福島0196号(1996年(H08)07月)-022page

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推進するためのリーダーシップを発揮すること。

(2) 教職員一人一人の役割分担を明確にし、全職員による組織的な研修を推進すること。

(3) 教職員の特性を生かすとともに校務分掌との関連を図るなどして、意欲的に研修が推進できるよう組織を工夫すること。

 

2 研修内容の検討・改善

 

研修内容は、「基礎学力の向上」が本県の重要な教育課題の一つであることを踏まえ、各学校の教育目標具現化の一貫として、教職員共通の課題解決を図ることを原則とする。

(1) 自校の当面する課題の解決・改善に向けた共通主題を設定し、日常の実践をとおしてその課題解決を図るようにすること。

(2) 児童生徒の実態・教職員の切実な課題意識を基にした授業改善についての研究を中心にすること。

(3) 学習指導要領の趣旨の実現を図るため、児童生徒一人一人のよさや可能性を生かすとともに、「基礎学力の向上」が一層図れる研修内容にすること。

 

3 研修の評価・改善

 

計画的に評価を実施し、研修の方法、内容の改善、修正に生かすことが大切である。

(1) 研修内容はどうであったか。

ア 自校の教育目標の具現と当面の課題解決に役立つものであったか。

イ 教職員一人一人の切実な課題を取り上げ、実践可能なものであったか。

(2) 組織と運営はどうであったか。

ア 他の組織との関連を図り効果的に運営されたか、今後はどうか。

イ 研究意欲を高めるための意識化や協同化を図る組織として運営がなされたか、今後はどうか。

(3) 研究の成果と今後の課題が明確にされ、継続化が図られるか。

(4) 研究成果が、児童生徒の望ましい変容となってあらわれ、毎日の教育活動に生かされているか。

 

4 研修時間の確保

 

校内研修を充実させるには、研修時間の計画的な確保が大切である。

(1) 研修時間を確保するために、教育課程全体を見直し、年間計画に位置付けること。

(2) 月や週の行事計画に定例的に位置付けたり、時間割り編成上から工夫したりすること。

(3) 集中的な研修が可能な長期休業を活用すること。

(4) 共同研修の運営の効率化を図ること。

ア 事前に研修内容を周知させる。

イ 事前に問題点を集約し、方向付けをしておく。

ウ 記録の累積を図り、その後の研修に生かす。

(5) 職員会や学年会などにも研修時間を確保するよう工夫したり、身近な場での話し合いも大切にし、研修意欲を高めること。

 

十二 幼稚園教育の充実

 

1 幼稚園教育の現状と課題

 

幼児期は、身体的な発達の基礎ができあがり、行動範囲の拡大に伴って情緒や社会性といった人格形成の基礎が確立する時期である。また、好奇心や探究心といった知的な面が発達したり、日常の基本的な習慣が形成され、その生活が自立し始めたりする時期である。そして、遊びを通して周囲の環境と主体的にかかわることにより、様々なことを自分から積極的に学びとっていく時期といえる。

学校教育法には、このような幼児期の特性を生かして、「幼稚園は幼児を保育し、適当な環境を与えてその心身の発達を助長することを目的とする」と示されている。環境を通して行う教育が基本であるとは、幼児期にどのような環境の下で生活し、その環境とどのようにかかわってきたかが、生涯を通しての生き方に影響を与えるものと考えられるからである。

就学前になんらかの集団生活を経験している幼児が九割を超える現在幼稚園教育に対する社会の期待や関心が高まってきているが、躾をはじめ幼児期の教育を全て幼稚園に期待し依存する風潮も見られる。また、出生率が低下して少子化が進んでいる。親は少なく生んだ子供に大きな期待をかけるが、その期待は望ましく幼児が育とうとしている姿とずれている現象も見られる。

一方、幼稚園では、遊びを通して自分の興味や欲求に基づいた直接的具体的な経験を積み重ねながら望ましい成長の基礎となる豊かな心情や物事に自分からかかわろうとする態度や、健全な生活を営むために必要な態度などが培かわれていくように努力がなされている。しかし、幼児期は知識や技能を教えていく時期ではないと理論の上では徹底しながらも「何を経験させたいか。」という思いが優先してしまったり、目の前の幼児の表面的な姿に流されて、学級の中のすべての幼児一人一人の育とうとしているものが見えなくなってしまったりする状況も見られている。

幼稚園の教育は、このように、心が伴わないままに物の豊かさを求めてしまったり、知識や技術を詰め込

 

 

 


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