教育福島0196号(1996年(H08)07月)-051page
教育・イン・ザ・ワールド
−ハンガリーの教育事情の紹介−
国際化にふさわしい教育の話題をシリーズで紹介する「教育・イン・ザ・ワールド」。今回は、平成7年度文部省教員海外派遣(長期)第31団に参加し、ハンガリーの教育事情を視察された小浜宗一郎先生(声)さか開成高校教諭)からのレポートです。
ハンガリーでは、8年間の初等教育を終了した生徒は中等学校に進学します。中等学校には、一般普通教育を行うギムナジウムと、職業教育を行う職業中筈学校等があります。初等学校卒業者のうち20%がギムナジウム(4年制)、38%が専門の中等学校(4年制)、35〜36%が熟練労働者養成中等学校(3年制)、5%が2年制の専門学校へそれぞれ進学します。93年から、義務教育期間が10年となりました。ギムナジウム生徒の3分の2、専門の中等学校佑徒の4分の1が大学に進撃します。
私たちが訪問したソンボトヘイ市は、オーストリアとの国境の近くの市で、ヴァシュ県の県庁所在地です。この市には、2校のギムナジウムと1校の芸術中等学校、10校の職業中等学校があります。生徒数は、中等学校全体でおよそ9000人、うち職業中等学校の生徒が7600人と、こちらにかなり力が入れられています。
私たちは職業系の学校を5校ほど訪問しました。国の体制が変わってからまだ間もなし切で混乱があるとのことでしたが、商業・工業・農芸・食品・観光等いずれの学校でも、教員も生徒も意欲的であり、西側に追いつこうという強い熱意を感じました。生徒は、学んだことを卒業後に生かそうと、目的を持って生き生きと学んでいました。また、学校は、民間企業や卒業生からの資金援助を受けたりIMFからの援助を受けたりするため、良い教育をしょうと競っていました。
語学ではロシア語に代わり、ドイツ語、英語の選択者が増えています。どの学校でも、コンピュータが導入されており、工業学校の生徒には、将来そちらの方面に進みたいという者が多くいました。
生徒は礼儀正しく素直で、これからますます発展が期待できそうな印象を持って訪問を終えました。
機械学校にて
農芸学校にて
商業学校にて(実習の様子)
食品学校にて