教育福島0198号(1996年(H08)10月)-017page
(2)心豊かでたくましい児童生徒の育成
1)義務教育
「基礎学力の向上」
新しい学力観に立った基礎・基本の確実な定着を図ることをねらいとする「小・中学校基礎学力向上推進事業」は、本年度で三年目を迎えました。
学力向上推進地区として指定された地区においては、教育内容・方法の改善充実のための実践的な研究を重ね、着実に成果をあげています。
大きな成果をあげている要因を概括的に述べると、教育活動の一つ一つ、一時間一時間に工夫を凝らし、組織的・継続的に着実に実践を重ねてきたということであり、まさに「教育に王道なし」というところです。
今年度スタートした「T・T方式推進モデル事業」は、個に応じた指導の一層の充実を図るため、モデルとなる実践研究を行い、その成果を県内の各小・中学校に普及、浸透させることを目指しています。
言うまでもなく指導は成果をもってその成否を問うものであり、指導法の改善・充実は、児童生徒のためになされなければなりません。
前述の基礎学力向上推進事業とあわせて、その成果に大いに期待しているところです。
一、平成六・七年度の基礎学力向上推進地区の取組と成果について
1 教科指導における主な実践内容と成果
(一)指導計画の改善
ア 基礎的・基本的内容の分析と指導内容の精選
イ 学校及び各教科の基礎学力向上プランの作成
ウ 教科の特性に応じたT・Tの導入
エ 学習内容をまとめたり学習の仕方を確かめたりする場の設定
オ 単元を見通した練習活動の時間の設定
力 単元導入時の既習事項の定着状況の確認
(二)学習過程の工夫
ア 体験的・問題解決的な学習の導入と工夫
イ コース別学習などの導入
ウ 自力解決の場と時間の確保
エ 定着の時間の確保
オ 学習の仕方、発表の仕方の訓練の時間の確保
(三)学習形態の工夫
ア 一斉学習、一人学習、グループ学習などを組み合わせた個に応じる学習形態の工夫
イ コース・課題別学習や進度・習熟の程度に応じた学習の積極的な導入による学習形態の多様化
ウ T・Tの導入による多様な指導形態の工夫
(四)支援と評価の工夫
ア 学習の足跡が分かるノート作り
イ 自力解決の時間における個に応じる支援
ウ 座席表活用による個に応じた指導
エ 学習カード、立日読カードの活用
オ 自己評価表の工夫
力 反復練習や豆テスト、学力テストの実施と活用
キ 診断テストの実施と分析
2 総合的な指導の実践と成果
(一)家庭学習の指導と学びの習慣の形成
(二)授業と直結した家庭学習の課題作成
(三)「学習の手引きとの作成と活用指導
(四)図書室利用の指導と読書時間の確保
(五)標準学力検査の結果の向上
(六)児童生徒の主体性の伸長と思考力、表現力の向上
(七)授業の活性化
二、T・T方式推進モデル事業
1 事業内容
(一)T・Tによる学習指導改善の具体的な研究
(二)個に応じた指導による基礎学力定着・向上策の研究
(三)推進地区下・T指導法研究会の実施
(四)学力診断テストによる変容調査の実施
2 推進地区
各教育事務所ごとに二地区、計十四地区を指定し、小学校三十四校、中学校十二校が研究に取り組んでい
基礎学力向上推進地区標準学力テスト結果の推移
実施年度 学年 段階 1 2 3 4 5
国語 6 小4 (6月) 7.3 21.1 40.7 26.4 4.5
7 小5 (2月) 4.9 14.6 40.2 32.1 8.2
6 小6 (6月) 7.0 23.5 37.3 26.4 5.8
7 中1 (2月) 5.8 25.5 33.2 25.5 10.5
6 中2 (6月) 5.0 24.5 40.8 24.7 5.0
7 中3 (2月) 6.7 21.0 35.4 31.3 5.6
算数・数学 6 小4 (6月) 8.9 21.7 33.2 31.5 4.7
7 小5 (2月) 4.3 21.7 35.6 29.1 9.4
6 小6 (6月) 6.8 30.8 37.9 19.1 5.4
7 中1 (2月) 7.9 28.9 33.5 22.9 6.8
6 中2 (6月) 6.6 24.2 37.3 25.3 6.6
7 中3 (2月) 6.9 25.5 34.1 25.7 7.9
英語 6 中2 (4月) 4.6 27.3 38.4 24.4 5.3
7 中3 (2月) 4.0 25.9 35.2 29.3 5.6