教育福島0198号(1996年(H08)10月)-019page
2)一高等学校教育
高等学校教育課では、生徒の進路希望の実現のために「学力向上ステップアッププラン」事業を行っています。また、平成五年六月に出された県学校教育審議会の答申を尊重し、国際化、情報化などの社会の変化に対応した高等学校教育の改革に取り組んでいます。
「学力向上ステップアッププラン」事業の推進
県教育委員会では、生徒の進路に応じた確かな学力を身に付けさせるために、平成二年度に「進学推進調査検討会議」を設置し、広く県内各界各層の方々に進学推進のための検討をお願いし、学力向上に関する「提言」をいただきました。
この「提言」を受けて、平成四年度から高等学校においては、一層の学力向上と大学などへの進路希望実現を図るため、「学力向上ステップアッププラシヒ事業をスタートしました。
《事業の概要》
この事業では、進学希望者数の多い高等学校の中から、
平成四年度には福島高校など十一校
同 五年度には湯本高校など 七校
同 一ハ年度には田村高校など 四校
の計二十二校を進学推進対象校として指定し、次のような事業を行い成果を上げています。
一 高等学校入学者選抜学力検査結果の分析と活用
・進学推進対象校における入学者の学力検査の実態を分析し、その結果を活用して指導に役立つ項目を手引書にまとめ、すべての高等学校・中学校・教育委員会に配布
しました。
・前述の分析結果を、中学校・高等学校連携会議などで活用し、中・高連携の一層の強化と、それぞれの学校の実態に即した指導法の改善を図るために役立てました。
二 進学推進対象校研究協議会の開催
・対象校二十二校から、校長・進路指導担当者等が出席して、六月と十一月の年二回研究協議会を開催しました。
この会議では、各学校の進路指導の状況やノウハウについての情報交換、東北大学総長西澤潤一博士による講演会を実施しました。
この会議での協議などを参考に、各校では進路指導体制を充実させることができました。
三 進学推進モデル事業
・対象校二十二校が各学校の実態に応じた次のような事業を行い、それぞれに成果を収めました。
(一) 教員の他校視察研修
(二) 生徒に対する進路講演会
(三) 生徒に対する学習合宿
(四) 指導資料・教材の作成
(五) 中土島連携会議の開催
(六) 各学校の創意に基づく事業
四 英数学力向上研究協議会の開催
五 基礎学力向上推進事業
六 進学情報収集・提供事業
〈進学推進対象校大学進学状況の推移〉
八年度からの新規事業の実施状況
上記の事業の成果を踏まえ、八年度からは、基礎学力向上推進事業の対象校を、普通科などを設置しているすべての高校に拡大するとともに、大学などへの志願率向上を図り、進学率の一層の向上を目指すため、「大学等志願率向上支援事業」を新たに開始し、次の事業を行っています。
一 専門学科における大学等志願率向上モデル事業
・専門学科設置校のうち十二校をモデル校として指定し、対象校では各校の実態に応じて、進路指導体制確立のための研修や保護者の意識啓発のための事業などを行う。
二 大学志願に関する現状と問題点についての調査
・中上高校生とその保護者を対象に進路に関する意識調査を行う。
三 大学等志願率向上に関する調査
・研究会議の開催
・志願率向上のための対応策について研究し、今後の施策に生かすべき提言をまとめる。
四 大学等進学指導研修会の開催
・専門学科設置校の進路指導担当者などを対象に、進学指導に関する研修を行う。
八月に文部省から発表された「学校基本調査」によりますと、本県の大学進学率は着実に上昇しているものの、志願率が全国的に低位にあるため、全国の上昇率に追い付けない状況にあります。
今後は、この事業や新規事業を効果的に推進することによって学力を一層向上させ、志願率とともに進学率の上昇を目指していきます。