教育福島0199号(1996年(H08)11月)-031page

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教育ひとロメモ

「盲学校墨耳学校及び養護学校学習指導要領」について

 

本年七月、中央教育審議会から「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」と題した「第一次答申」が出され、今後の教育課程の基準の改善の方向が示唆されている。

これまでも、中央教育審議会のまとめを受け、臨時教育審議会の答申、さらには教育課程審議会の答申を受けて、学習指導要領が改訂されてきたことから、いずれ次回の学習指導要領の改訂の際に、「審議のまとめ」が生かされていくものと考えられる。

今回は、この学習指導要領について、盲学校、聾学校及び養護学校を例に、法的な位置づけと内容をみていくことにする。

 

○学校教育法

(盲学校・肇学校・養護学校の目的)

第七十一条 盲学校・聾学校又は養護学校は、それぞれ盲者(強度の弱視者を含む。以下同じ)、聾者(強度の難聴者を含む。以下同じ)又は精神薄弱者、肢体不自由者若しくは病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施し、あわせてその欠陥を補うために、必要な知識技能を授けることを目的とする。

つまり、盲学校、聾学校及び養護学校の目的は、小学校、中学校及び高等学校と同じであると定められており、さらに障害の種類に応じて、障害を改善、克服するための目的(教育課程編成に際し、「養護・訓練との領域で対応している)が付け加えられている。この目的を受け、さらに学校教育法では、

第七十三条 盲学校、聾学校及び養護学校の小学部及が中学部の教科、高等部の学科及び教科又は幼稚部の保育内容は、小学校、中学校、高等学校又は幼稚園に準じて、監督庁が、これを定める。

監督庁とは、同法第百六条で「当分の間、これを文部大臣とする」と定めている。

つまり、教科等については文部大臣が定めることになるわけである。この学校教育法を受け、学校教育法施行規則では、

第七十三条の七 盲学校、聾学校及が養護学校の小学部の教育課程は、国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭及び体育の各教科(養護学校の小学部にあっては、精神薄弱者を教育する場合は、生活、国語、算数、音楽、図画工作及び体育の各教科とする)道徳、特別活動並びに養護・訓練によって編成するものとする。

また、同施行規則第七十二条の八、九では中学部及び高等部の教育課程を定めている。

さらに、第七十三条の十では、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程については、教育課程の基準として文部大臣が別に公示する学習指導要領によるものとすることが定められている。

 

このように学習指導要領は、学校教育法から学校教育法施行規則へ、さらには文部大臣の公示へとつながっており、法的に位置づけがなされている。

盲学校、聾学校及び養護学校学習指導要領の位置づけは、小学校(中学校、高等学校)学習指導要領と同様になっているわけである。

 

学習指導要領は、あくまでも教育課程を編成する際の基準であり、教育課程は各学校において編成すべきものである。今回の学習指導要領では、総則において「各学校においては…編成するものとする」と述べられている。前回は、学校においてはとなっていたが、これは教育課程の編成に当たっては各学校において、より一層主体的に取り組んでほしいという趣旨がこめられているからである。

なお、盲学校、聾学校及び養護学校の教育が、小学校などに準ずる教育であると言われるのは、学校教育法第七十一条、同第七十三条に、準ずることが明記されているためである。

 

 

 


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