教育福島0200号(1997年(H09)01月)-049page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育福島0200号(1997年(H09)01月)-049page


縄文料理はおいしいぞ!?

秋も深まり、おいしい自然の食材が山々にあふれる季節−十月十九日・二十日に県立博物館では、実技講座「縄文料理をつくろう」が行われ、小学生から大人まで二十五名の方が参加しました。私たちが毎日食べている「お米」が主食になったのは、弥生時代からのことです(今から約二千三百年前)。それ以前の縄文時代(今から約二千三百〜一万二千年前)には、わずかにクリやエゴマなど栽培はしていたものの、田んぼや畑はっくらず、自然の中から得られるもの、ドングリやトチノミなどの木の実を主食としていました。そして豚や牛、鶏などもいなかったので、イノシシやシカ、ウサギ、タヌキなどの動物、キジ、カモなどの鳥や魚からタンパク質を得ていました。そのほか具山菜、きのこなどを季節に採集し、まさに自然食品を食材としていたわけです。

今回のメニューは、山形県高畠町から出土した「縄文ハンバーグ」の復元と縄文土器で煮た「縄文スープ」です。ハンバーグ用の肉は細切れにしなければりません。もちろん縄文時代に鉄の包丁はありませんから、第一日目、まずは石器づくりから始めました。「頁岩」という石を割り、鹿の角を使って加工して石のナイフを仕上げます。各人三〜四個を作りあげました。いよいよ第二日目の料理の日、外はあいにくの雨で、会場は博物館の実習室となりました。

石のナイフは驚くほどの切れ味です。でも、脂がこびりつくと切れにくくなり、予備のナイフと取り替える必要がありました。肉はみるみる細かくなり、一方ではアクを抜いたトチノミとクリ、エゴマが丸石で粉状に砕かれていきます。野鳥の卵とヤマイモをつなぎにして練り合わせ、成形したあと、急場しのぎの「炉」ならぬガスこんろにのせ焼け石の上でこんがり焼き上げて「縄文ハンバーグ」の出来上がり。

「縄文スープ」もこんろの上でグツグツ煮えています。中味は、コンブ、アサリ、サンマのミンチ、鳥肉、きのこなどなど…のゴッタ煮です。最後にハコベで色どりを添えて一丁あがり!火からおろしてもグツグツ、冷めにくいのも縄文土器効果です。

いよいよ、いただきまーす。完成は午後二時、もちろんお腹をすかした参加者は、口々に「おいしいー!?」。スープは満点だったものの、ハンバーグの方はちょっとトチの苦さが現代人には合わなかったようでした。

春には企画展「縄文探検」に合わせて、再度挑戦する予定です。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。