教育福島0203号(1997年(H09)06月)-004page
文化の窓
日本の魚学・水産学事始め
フランツ・ヒルゲンドルフ展
県立博物館
今から約120年前、日本で採集されてドイツへ運ばれた魚類の標本が、今回、里帰りします。これらは、貴重な動物標本として、今日に至るまでベルリン自然史博物館で大切に保管されていたものなのです。
フランツ・ヒルゲンドルフという科学者をご存知でしょうか? 彼は、明治初期にドイツから招かれた、いわゆる『お雇い外国人』学者でした。彼こそ、日本で採集した魚類の標本をドイツへ運んだその人なのです。
彼はもともと地質学者でしたが、日本では、当時の東京帝国大学などで、幅広く自然科学の教育に携わりました。かの森碧外も、彼の講義を受けていたのです。一方、滞日中に魚の分類研究に情熱を傾け、日本の魚学・水産学の礎を築きました。私たちがよく知っているサケやタラも、彼が研究して学名をつけたのです。
最近の日本では、科学といえば応用的な面が強調されがちですが、ヒルゲンドルフは、日本の自然科学を指導する中で、基礎科学の考え方をも熱心に伝えようとしました。彼のもとで、私たち日本人はどんな風に自然科学と出合ったのでしょうか?
この企画展では、ヒルゲンドルフの活動を通じて、日本に科学が根づいていく頃の様子を、歴史的な面から御紹介しようと思、います。
フランツ・ヒルケンドルフ肖像
ヒルケンドルフが採集し、ドイツへ持ち帰った魚の標本(クロリイ) フンボルト大学自然史博物館蔵
1850年代のベルリン大学の様子
ヒルゲンドルフが採集し、ドイツへ持ち帰った魚の標本(八リアンコウ) ベルリン自然史博物館蔵
企画展観覧料
一般・大学生260円(210円)/高校生150円(I00円)小・中学生100円(50円)
※( )内は20名以上の団体料金です