教育福島0203号(1997年(H09)06月)-016page
二 高校教育改革の柱
高校教育改革は大きく分けて次のように三つの柱から成ります。
高校教育改革の柱
・特色ある学校づくり
(1) 総合学科高校の新設
(2) 全日制単位制高校の新設
(3) 新しい学科の設置
(4) 男女共学化の推進
(5) 四十人学級の完全実施
・教育内容の充実
(1) 選択制と多様な科目の開設
(2) 教育課程の弾力化
・高校入試と進路指導の改善
(1) 個性を生かす高校入試
(2) 将来の生き方を考える進路指導
特色ある学校づくり
(1) 総合学科高校の新設
従来の高校は、国語、数学などの普通教育に関する教科を中心に学ぶ普通科と、農業や工業などの専門的な学習を行う専門学科の二本立てとなっていました。しかし、高校にもいろいろな進路希望を持った生徒が入学してくるようになると、普通科や専門学科だけでは対応が難しくなり、新しいシステムの学科が必要になってきました。そこで誕生したのが総合学科です。
普通科や専門学科では、学校の定めたカリキュラムに従って全員がほぼ同じように学習しますが、総合学科では数多くの普通科目と専門科目から成る選択科目群の中から、一人一人の興味・関心、進路希望に基づいて勉強したい科目を選択し、自分だけの時間割で学習を進めます。総合学科は好きな勉強を思う存分できるところに大きな特色があります。
また、総合学科の学習科目の中には、原則履修科目として「産業社会と人間」、「情報に関する基礎的科目」、「課題研究」の三科目がありますが、この中でも特徴的なものは「産業社会と人間」です。この科目では、いろいろな学習を通して自分の適性を見極め、将来の職業について広く学習します。高校の学習過程の中で自分の進路を決定し、自己実現を図ることのできる総合学科は、進学にも就職にも対応できる新しい学科といえまえ
総合学科は平成六年度から設置できるようになりましたが、全国の設置状況は次のとおりです。
年度 都道府県数 学校数 公立 私立 6年 7 7 7 0 7年 15 16 15 1 8年 17 22 21 1 9年 23 29 27 2 合計 40(実数) 74 70 4 10年以降設置予定 9 11 11 0
岩手県立岩谷堂高等学校や栃木県立氏家高等学校をはじめ、平成六年度に設置された七校では、今春、総合学科の「一期生」として約千二百名の卒業生を送り出しました。「家政系の科目を学ぼうと入学したが、農業系の学科の楽しさに目ざめ、途中で志望を変更した」とか、「進路について十分に考えられたのが、総合学科に来てよかったこと」などと卒業生は話しており、柔軟な進路選択が可能になったことや、進路について考える機会が増えたことを歓迎しています。
本県では、平成八年度に開校した光南高校に初の総合学科を設置し、今年で二年目を迎えましたが、生徒たちは意欲的に充実した毎日を送っています。今年度はさらに、安達東高校と双葉翔陽高校の二校が、総合学科高校として新たなスタートを切りました。
また、平成十年度には、小野高校に県内四番目の総合学科を設置する予定で、教育課程の検討や施設・設備の充実を進めているところです。
総合学科が設置される小野高校
総合学科の選択科目は、生徒が選択する際の参考となるように、体系性や専門性において相互に関連する普通科目及び専門科目を科目群、すなわち系列に分けて開設しています。系列は生徒にある程度まとまり