教育福島0203号(1997年(H09)06月)-015page
特集2
高校教育改革の推進
高等学校教育課
はじめに
国際化、情報化、科学技術の高度化等の時代の進展にともない、福島県内の産業構造は著しく変化し、経済のサービス化や高速交通化とあいまって、地域の社会生活は大きく変わろうとしています。また、過疎化と高齢化が同時に進行している地域もあれば、一部の都市部では人口微増の傾向にあるなど、地域によって人口動態が異なり、県内全体の均衡ある発展と各地域の振興が強く望まれています。
本県では、こうした時代の進展や地域社会の変化に対応し、「ふくしま新世紀プラン」のもと、「地域に根ざし、世界に伸びる人づくり」が重要な課題となっています。
県教育委員会では、これまでも第四次福島県長期総合教育計画に沿って、新世紀ふくしまを担う「明るく個性豊かな人間の育成」のため、当面する課題である高校進学率及び大学等進学率の向上のための効果的な対策を講じながら、「多様な個に対応する魅力ある学校づくり」に努めるとともに、さらには、学校週五日制の完全実施を視野に入れ、学校・家庭・地域社会の連携を図る「地域に開かれた学校づくり」に努めてきています。
一 改革への視点
県教育委員会は、平成五年の福島県学校教育審議会答申「生徒減少期における高等学校教育の在り方」に基づき、これまで四十人学級編制の実施をはじめ、男女共学化、魅力ある学校づくり、学科改編等を実施してきました。
また、本県における高等学校の生徒数は、現在、大幅でかつ長期的な減少期を迎えています。中学校卒業生の数をみると、平成二年三月は約三万三千六百人でしたが、十五年後の平成十七年三月は、これより約九千九百人減の約二万三千七百人と予想されます。そこで、県教育委員会では、今後十年先の少子化時代を見通して、県学校教育審議会の答申の具現化を図り、本県の高等学校教育の質的向上を目指すために、次の視点に立って、中長期的な県立高等学校改革を推進していく予定です。
(1) 少子化時代に対応するため、学校規模の適正化を図るとともに、学校・学科の適正な配置を行いい県内全域にわたって高等学校教育を充実させる。
(2) 男女共同参画社会にふさわしく、すべての県立高等学校を男女共学化する。
(3) 生徒一人一人の個性を尊重し、能力・適性、興味・関心、進路希望等によって教科・科目が選択できるよう、多様な特色ある学校・学科を設置する。
(4) 多様な学習ニーズに柔軟に応える定時制・通信制高校を、全県的な視野に立って配置し、定時制・通信制教育を充実させる。
(5) 他の高等学校との学校間連携、技能審査の成果及び専修学校における学習成果の単位認定など、新しい学び方を取り入れた学校づくりを推進する。
(6) 高等学校教育の充実を図る、新しい構想による学習施設等について検討する。