教育福島0204号(1997年(H09)07月)-010page
一 学校教育目標の具現化
1 教育目標の見直し
学校の教育目標は、心身の調和のとれた児童生徒の育成を目指し、学校や地域の実態、保護者の願い、児童生徒の発達や特性などを十分に考慮し設定されるものである。
また、教育目標は、各学校の教育課程編成のよりどころであるとともに、学校の教育活動全体を通じて達成すべき実践的なねらいでもある。
近年、社会が激しく変化するに伴い、児童生徒や保護者の生活意識、価値観が多様化してきており、各学校がそれぞれの教育課題を的確にとらえ、教育目標を適宜見直す必要がある。
なお、教育目標を見直す際、次の点に留意することが大切である。
(1) 自校の教育課題を明らかにし、目指す児童生徒像を具体化すること。
(2) 関係法令、学習指導要領、県及び市町村教育委員会の重点施策等を踏まえること。
(3) 学校や児童生徒の実態、保護者や地域社会の願い、教職員の期待を考慮すること。
(4) 知・徳・体について調和的に構成されるようにすること。
(5) 児童生徒にとって分かりやすい表現にすること。
なお、前年度の目標を踏襲する場合は、次の点に留意したい。
(1) 教育目標の設定の背景と今日的意味付けを明らかにし、全職員の共通理解を十分に図ること。
(2) 教育目標の内容を分析するとともに、構造化して、具現化が図られるようにすること。
2 教育目標の具現化
教育目標の達成のために具体化、重点化した指導計画や方策に基づいて、児童生徒が行動化、態度化を図る過程を具現化ととらえる。
したがって、一人一人の児童生徒が、発達段階に応じて、教育目標を自らの課題として受けとめるとともに、教職員が一丸となって組織的に教育目標の具現化に取り組むことが大切である。
(1) 重点目標の設定
教育目標は、長期的、相対的、調和的な内容となることが多い。
そこで、教育目標達成の手立てとして、年度毎の重点目標を設定し、その達成を目指すことが望ましい。
重点目標は、短期的、部分的、強調的なものであり、その設定に当たっては、前年度の反省を生かすとともに、重点目標として掲げることで教育目標の活性化が図れるものでありたい。
さらに、単年度で到達可能な目標とし、具体的、実践的で、児童生徒にとって分かりやすく、親しみやすい表現にすることが大切である。
(2) 学年・学級目標の設定
学年目標は、重点目標を児童生徒の発達段階や実態に即して具体化した指標である。設定に当たっては、次の点に留意したい。
1) 教育目標の内容を分析し、児童生徒の発達段階や実態に即して具体化を図ること。
2) 教育活動の中での指導の場と機会を明確にすること。
3) 各学年に応じて目標とする児童生徒像を明確にすること。
4) 学期や月ごとに、重点的な実践事項を明らかにすること。
5) 学年にかかわる教師の役割を明確にし、学期毎及び月毎に評価、改善を行えるようにすること。
学級目標は、重点目標、学年目標を受けて、学級の実態や担任の指導方針を生かして設定されるものである。設定に当たっては、児童生徒と十分話し合いその考えを積極的に取り入れたい。
(3) 各教科、道徳、特別活動の目標の設定
重点目標の具現化を図るには、三領域との関連を持たせることが極めて重要であるので、次の点について留意したい。
1) 教育課程編成の際には、重点目標達成の観点から各教科等の目標を設定すること。
2) 具体化した目標を、各教科等の単元や題材の学習活動に位置付けること。
3) 教科等で努力することを年度当初に児童生徒と話し合い、確認するとともに評価簿等を作成し、指導に役立てること。
4) 授業案や週案に目標との関わりから実践事項を記入し、意図的に取り組むこと。
3 具体化のための体制づくり
教育目標達成の基本条件は、教職員の役割を明確にし、教職員一人一人の持つ能力や特性を存分に発揮できるようにするとともに、組織として効果を上げ、目標達成に努めるところにある。
そこで、次の点に留意し、体制を整えたい。
(1) 学校の実状に即した機能的な組織を編成すること。
(2) 教職員一人一人の職務内容を明確にし、責任体制を整えること。
(3) 教職員の適材適所の配置に心が