教育福島0204号(1997年(H09)07月)-015page

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努めることが大切である。

 

1 特別活動で育てる学力

 

特別活動は、望ましい集団活動を通して、なすことによって学ぶ教育活動である。児童生徒は、所属する集団の中で、友達と協力し合いながら知恵を出し合って、よりよい生活を築いたり、生き方を学んだりしていくのである。

○集団の中でどのように行動することが望ましいのか、あるいは、学校生活や学級生活をより充実させるには、何をどうしたらよいのかなどの「価値選択能力」

〇教科等で学んだ様々なことを総合して生かし、創意工夫したり、計画したり、役割を遂行したりする力

○友達と協力、協調して活動していく、他とともに生きる力

このような力は、児童生徒が自分たちの学校生活をよりよくしたい、友達と仲良く学習や生活をしたいという思いに支えられてこそ、意味のあるものであり、生涯にわたって生かされる力として身に付くものである。

 

2 特別活動の授業の改善・充実

 

特別活動は集団活動を特質とする教育活動であることから、これまでともすると集団としてのまとまりや成果を重視するため、集団としての統制や結果の出来栄えを問題にする傾向にあった。これからの指導においては、教師は児童生徒一人一人の活動や成長の過程を大切にし、よさや可能性が高められ豊かになるよう個に応じた指導の在り方を工夫改善していく必要がある。

(1) 協力的な指導体制の確立

児童生徒一人一人が個性を豊かに発揮して活動できるようよさや可能性を多面的にとらえ、全教師の参加と協力のもとに指導計画の作成や指導組織、指導方法・評価の工夫改善に努めることが大切である。

(2) 内容の精選と授業時数の確保

特別活動は、児童生徒の集団による実践的な活動である。したがって、特別活動の指導は、児童生徒の実践を前提とし、実践を可能にする指導でなければならない。そのため、児童生徒の願いや考えを尊重し、主体的な活動を助長していくことを指導の基本とする必要がある。このような考え方に立ち、各内容で取り上げる活動や資料など教材を見直し、児童生徒の実態に配慮しつつ精選するとともに授業時数の確保と活動時間の弾力的な運用の工夫に努めることが必要である。

(3) 学習環境の整備と拡大

児童生徒は、教材とのかかわりや教師、及び集団の中で他の児童生徒のよさとかかわることなどを通して、自らのよさや可能性を豊かにし、高めていく。したがって、教師は適切な教材を工夫し、選択するとともに、教師と児童生徒、児童生徒相互の人間関係を豊かにすることに配慮することが大切である。さらに、このこととの関連において好ましい学習環境を整えることは重要な視点であり、児童生徒が主体的に活動できる場の設定の工夫、互いのよさや成果を認め合い、励まし合うことができる場や機会の工夫、活動意欲を高め、活動の場や機会を広げる工夫に努めることが必要である。

(4) 活動を児童生徒にゆだね、温かく見守る指導の充実

特別活動は自主的、実践的、集団的活動を特質とする教育活動であるから特に児童生徒の思いや願いを重視する必要がある。

児童生徒は生来活動的で、友達と協力して活動することを好むものであるから、特別活動の指導においては、児童生徒にゆだねることができるものを明確にし、多少の失敗が予想されても温かく見守り、支援する教師の姿勢が必要である。

したがって、特別活動の指導においては、児童生徒のよさを発揮させ、自分で考え、判断し、試みる場や機会を増やすとともに、活動の展開に際しては児童生徒の発意、発想をできるだけ重視し、児童生徒による主体的な活動が展開されるよう適切に指導することが大切である。

 

六 生徒指導の充実

 

児童生徒一人一人が個性を発揮し、豊かな自己実現を図ることができるような資質や能力、態度を育成するためには、生徒指導の機能が従来にも増して重視されなければならない。

「自己決定の場がある」「自己存在感を味わう」「人間的な触れ合いを基盤にする」の三つの機能を再認識し、各教科、道徳、特別活動など学校教育すべての活動に積極的に機能させていくことが大切である。

 

1 共感的な人間関係の育成

 

児童生徒は学校での集団生活を通して、様々な人間関係の中で社会性を養い、自己を高めていく。誰もが親しい友人など安心できる人間関係のもとでは、生き生きと自己を発揮して、伸び伸びと生活している。

それゆえ、学校生活においても児童生徒が互いに共感し、理解を深め合うことができる体験活動などを積

 

 

 


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