教育福島0204号(1997年(H09)07月)-018page
考え方を育てる学級経営
学級担任は、児童生徒一人一人の実態を的確に把握し、これからの社会において主体的に生きていくために必要な資質や能力を養うという観点に立って、個に応じた指導を工夫することが大切である。そのことにより、児童生徒一人一人が、自分のものの見方や考え方を持ち、自ら学ぶ意欲や主体的に学習する態度を身につけることができる。
(2) 友情と信頼に満ちた学級づくり
学級担任は、学級の実態を多面的に把握し、学級目標の具現化の過程で望ましい集団の形成を図る必要がある。そのために、学級担任は温かい愛情のもと児童生徒自らが育っていく過程を支援しながら、明るく高め合う学級集団を築き上げていかなければならない。
特に、児童生徒一人一人についての個性や家庭環境などを十分把握し、一人一人の願いや問題点、訴えなどに的確に対応できるようにし、登校拒否問題やいじめ問題に対して早期発見、早期対応ができるように努めることが重要である。
これらの問題の解決は、学級担任一人では困難を伴うことの方が多いので、学年あるいは学校としても対応策を講じ組織的に対応することが大切である。
また、いじめ問題は生命尊重や人権問題に関わることを十分認識して、日常から道徳教育を中心とした「心の教育」の充実を図る必要がある。
(3) 新しい学力観に立った学習指導の充実
児童生徒一人一人が学校生活や学級生活が楽しいと感じるのは、学習内容がよく理解でき学習していることの楽しさを味わえるときである。
学習の主体者としての児童生徒の側に立ち、一人一人の持つよさや可能性が発揮できるように支援し、その後の学習や生活に生きて働く力を身につけさせることが大切である。そのために、指導技術の向上や指導方法の工夫改善に努めるとともに、個に応じた指導のあり方についても工夫し、日々の授業改善に努めていく必要がある。
(4) 教室環境の整備
教室環境は、児童生徒の学習と生活に様々な影響を与える。
これらが、学習や生活に適した環境となるように、学級担任は児童生徒とともに創意工夫して整備していく必要がある。
(5) 家庭との連携を深める学級経営
一人一人の望ましい人間形成のためには、それぞれの家庭環境を理解し、指導に当たる必要がある。そのためには、常日頃から家庭との連絡を密にし、相互の信頼と協力関係を確立し、共通基盤に立って教育活動を進めていくことが大切である。
八 進路指導の充実
1 進路指導のねらい
学校教育においては、生徒が自分の生き方を考え、将来に対する目的意識を持って主体的に自己の進路を選択・決定し、生涯にわたって自己実現を図っていくことができる能力や態度を育成することが求められている。
そこで、進路指導においては、生徒一人一人が自己の個性や生き方、進路の多様な選択可能性についての理解を深め、将来の学校や職業に関する情報を収集・活用しながら、進路に関する相談の機会を通して、将来の夢や希望を抱いて、自らの進路を主体的に選択決定できるよう指導・援助することが大切である。各学校においては、進路指導の基本的な性格を次のようにおさえ、自校の実態に応じた手だてを講じる必要がある。
(1) 学級活動を中核としつつ教育活動全体を通じて、計画的、組織的、継続的に行われる教育活動であること。
(2) 家庭や地域社会、関係機関との協力・連携が特に必要とされる教育活動であること。
(3) 生徒自らの生き方についての指導・助言であること。
(4) 一人一人の生徒を大切にし、その個性や可能性を最大限に生かし、伸長する教育活動であること。
(5) 体験的な活動を通して自らの個性を発見し、目的意識を持って、主体的に自己実現を図っていく態度を育てる教育活動であること。
いうまでもなく、生徒の将来の夢や願いの実現のためには、基礎となる確かな学力を身に付け、多様な進路選択の可能性を高めることが大切である。各学校では、各教科等の授業において、なお一層、基礎・基本の定着を図る必要がある。
2 本来の進路指導の推進
各学校では、業者テストに関与しなくなって以来、本来の進路指導のあり方を探り、生徒が主体的に進路選択できるよう、情報の収集や体験活動の実施などさまざまな工夫がなされてきた。
今後は、「生き方の指導への転換」、「進学したい学校選択への指導の転換」、「生徒の意欲や努力を重視する指導への転換」、「生徒の選択決定へ