教育福島0204号(1997年(H09)07月)-019page

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の指導の転換」という進路指導改善の四つの視点を再確認し、以下の内容に配慮して本来の進路指導を推進することが大切である。

(1) 進路指導推進体制の充実を図る。

進路指導は、その機能を補充・深化・統合する学級活動のなかに適切に位置付け、三年間を見通して学校の教育活動全体を通じて行うものである。そのためにはまず、生徒の発達段階に応じて効果的な指導を進められるように、学級担任や進路指導主事などの役割を明確にし、指導体制を整え、機能させることが大切である。

特に、指導に当たっては次の点に留意する必要がある。

1) 三年間の進路指導の発展性、系統性を明らかにしてそれぞれの学年の指導に当たること。

2) 進路指導が進学指導のみに偏ることなく、生徒が自己理解を深めながら、人間としての「在り方」「生き方」を考え、将来の職業生活の中で自己実現が図れるよう、しっかりした人生観・職業観を育てる指導に努めること。

3) 一人一人の生徒の能力、適正、興味、欲求、性格などの総合的な理解に努め、それぞれの潜在的な資質や可能性を最大限に伸長できるよう、個に応じた指導を進めること。

4) 高等学校の体験入学や職場体験学習など、できる限りの啓発的体験の場を設け、生徒が自己の進路を選択するために必要な情報を、自ら獲得できるよう指導の改善・工夫に努めること。

(2) 保護者の理解を一層深める。

本来の進路指導は、保護者や地域社会とのかかわりの中で行われるものである。そのため、広報資料や保護者会を通して協力して進路指導に当たるなど継続的に共通理解を深めていく必要がある。特に、啓発的体験活動や学級活動の時間に保護者の参加を積極的に促し、本来の進路指導のねらいについて、生徒の姿を通して保護者の理解を十分に得られるように配慮していく必要がある。

(3) 教員研修の充実を図る。

実効性のある進路指導を推進するためには、教師一人一人が進路指導に対する理解を深め、生徒の主体的な進路選択を促すことができるように、指導の力量を高めていく必要がある。特に、学級活動における進路指導については、啓発的体験の活動との関連を十分図り、生徒が主体的に進路の課題を解決することができるように、指導方法の改善・充実にかかわる研修を積極的に推進していく必要がある。

 

九 へき地・小規模校教育の充実

 

へき地・小規模校教育を充実するには、へき地という地域性からくる教育上の問題、あるいは小規模校、複式編制という条件や形態から生じる課題を十分に考慮し、適切に対応することが大切である。

例えば、季節的な特殊性や極小規模に起因すると考えられる主体的な学習態度の形成、豊かな表現力の育成が十分でないなどの課題が見られる。

学習指導要領の趣旨の実現のためにも、豊かな自然に恵まれたへき地や小人数の特性を生かせる小規模校のメリットを生かし、児童生徒の側に立った学習指導や個に応じた指導を進めるなど、へき地・小規模校だからこそ可能な教育の創造と実践が強く望まれる。

 

1 特性を生かす学校・学級経営

 

(1) 特性を生かす教育課程の展開

へき地・小規模校の特性として次のようなことがあげられる。

1) 児童生徒が少ないために、一人一人の個に応じた指導が行いやすい。

2) 地域的に豊かな自然環境に恵まれ、それらを教材化したり、体験活動に生かしたりすることができる。

3) 地域が学校に対して期待と関心を持ち、協力的である。さらに学校と家庭や地域との連帯感や一体感が強い。

4) 教員組織上、共通理解を図ることが容易で、一体となった指導体制作りがしやすい。

したがって、へき地・小規模校においては、プラス面の特性を積極的に生かし、指導計画の作成や指導方法などについて具体的に工夫・改善を図り、教育課程を展開していかなければならない。

また、地域素材の教材化に努めるとともに、児童生徒の実体に即して弾力的に指導できるよう、指導計画を改善していくことも重要である。

(2) 家庭、地域との連携を図る経営

地域住民の協力が得やすいへき地・小規模校においては、地域の人々の知識や技能を学校教育の中で積極的に活用するとともに、家庭や地域社会に積極的に働きかけ、その教育力が十分発揮させるよう配慮することが大切である。

(3) 他校との交流を図る経営

各学校では近隣の学校と学校行事や自然教室、宿泊活動など合同で行ったりする活動を通じて児童生徒が幅広い体験を得て視野を広げ、豊かな人間形成が図られるように配慮することが大切である。大集団の中で

 

 

 


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