教育福島0205号(1997年(H09)09月)-006page

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提言

 

高校の簿記教育に思うこと

福商創立100周年によせて

 

福島大学経済学部教授

相良勝利

 

育について常日頃感じていることについて、心に浮ぶままを記することとする。

 

編集担当の方から、母校福島商業高校の創立百周年によせて、福島県の教育について何か「提言」を書いてほしいという依頼があった。しかし、筆者にはこうした要望に応えるだけの識見もなければ能力も備えていない。そこで今回は、かつて高校・大学で簿記の教育を受け、かつ大学で簿記の授業を担当した経験を踏まえて、高校の簿記教育について常日頃感じていることについて、心に浮ぶままを記することとする。

かのゲーテは、「ヴィルヘルム・マイスターの徒弟時代」で複式簿記について「それは人類の最も美しい発明の一つである」と絶賛している。天才詩人と複式簿記、若干ミスマッチの印象は否めないが、弁護士でもあったゲーテは、職業がら商人の複式簿記に接する機会があったのであろう。その整然としたシステムの「美しさ」に心底感動していたことを、伺い知ることができる。

翻って筆者自身の高校時代を思い起こしてみると、簿記の授業は全くつまらなかったというのが実感である。にもかかわらず、大学時代に受講した「簿記原理」の授業は本当に楽しかった。一体この落差は、どこから生まれてきているのか。

一般的に、その授業を面白く感じるか否かは、教える側のその学問についての造詣の深さと教育への情熱、そして教わる側の知的好奇心の高さに依存している。筆者が高校時代に簿記の手ほどきを受けた先生の場合、稀に見る簿記

 

 

 


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