教育福島0205号(1997年(H09)09月)-016page
特集2
進路指導の充実
義務教育課
一 はじめに
進路指導の改革がスタートして四年余りが経過した。この間、中学校における進路指導の適正化をはじめとして、高等学校入試の改善、さらには高等学校の在り方自体の改善等が、相互に連動してなされてきた。これらの改善は、高等学校の総合学科の設置や職業教育の活性化、促進としても現れ、最近では、専門高校・総合学科卒業生選抜など、大学入試の改善にまで広がりつつある。
二 進路指導の現状と課題
各中学校では、本来の進路指導への転換を図る際に次のような課題を抱えていた。
1 進路指導は三年生に対する進学指導が中心であった。
2 学級活動における進路指導が形骸化し、生徒一人一人に生き方等を考えさせるものとして十分機能していなかった。
3 高等学校への体験入学等、体験を通した進路学習では、体験したことが、正しい職業観や生き方について考えさせる活動と十分に結びついていなかった。
4 進路選択については、テストの結果にのみ基づいた進学先決定の指導に重点が置かれていた。
これらの課題を克服するために、各学校では、自校の進路指導を見直し、地道な工夫・改善を継続しながら実践を積み重ねてきた。その結果、現在では、学校教育全体を通しての進路指導の推進や、「生き方」の指導を中心として、生徒一人一人が主体的に進路を考え、選択できる進路指導が行われるようになってきている。
特に、平成六年度より開始された、中学校進路指導総合改善事業では、
1 入学時から三年間にわたって計画的・組織的に進路指導を行うこと。
2 地域の様々な教育力を活用し、生徒に勤労や社会奉仕の体験を得させること。
3 職業生活や社会生活等について幅広く理解させること。
を掲げ、全国六十ヵ所余りの推進地域において、学校、家庭、地域が一体となり、生徒一人一人が望ましい進路実現を図るために、多様な啓発的体験を通して、さまざまな生き方を探り、豊かな人生観や職業観を身につけていけるよう研究実践が展開された。
このような、研究推進地域をはじめとして、各中学校での進路指導の改革が進む中にあって、今後さらに改善・充実を図るためのいくつかの課題も明らかになってきた。第一には、学級活動における進路指導の在り方に関すること、第二には、啓発的体験の重視に関すること。第三には、保護者との連携に関することである。
三 進路指導の課題への対応
1 学級活動における進路指導の在り方
学級活動は、生き方の指導としての進路指導を進める際の、中核となる場であり、学校の教育活動全体をとおして行う進路指導を補充、深化、統合する重要な役割を担っている。したがって、特に次の点に配慮して学級活動における進路指導をさらに充実させていく必要がある。
(1)一単位時間の指導計画作成に当たっては、進路指導の全体計画、年間指導計画に基づき、三年間を見通した系統的・発展的な指導が行えるように工夫する。
(2)啓発的な体験を学級活動における進路指導と関連づけて指導に当たる。
(3)保護者参加の学級活動を積極的に取り入れるなど、多様な活動の展開につとめる。
(4)生徒が、三年間の進路学習の見通しをもてるように、年度当初に進路学習のオリエンテーションの時間を設けるなど、題材の配列を