教育福島0207号(1997年(H09)11月)-008page
特集1
盲・聾・養護学校の教育活動
養護教育課
一 はじめに
盲学校や聾学校に学ぶ子供たちのほとんどは、それぞれ「見えない」、「聞こえない」子供たちではなく、「見えにくい」、「聞こえにくい」子供たちといっても過言ではありません。
養護学校で学ぶ子供たちも同様です。確かに他者と比べると、時間はかかるかもしれませんが、子供たちは、「何かをすることができない」のではなく、教師や保護者等から適切な指導援助等がなされたら、「ほとんどのことができる」子供たちなのです。
これらのことを踏まえて、盲・聾・養護学校では、児童生徒一人一人の可能性を最大限に伸ばし可能な限り社会参加・自立していく人間の育成を図ることを目的として、児童生徒一人一人の障害等の状態や発達段階などに応じて、特別な配慮のもとに、手厚くきめ細かな教育を行っています。
二 ノーマライゼーションと養護教育
近年、障害の有無にかかわらず共に生活し、活動する社会「共生社会」を目指すノーマライゼーションの理念が広く認識されつつあります。障害者が社会参加できる社会づくりは、本県でもすでに多くの実践がなされています。
このような中で、盲・聾・養護学校においても、障害のある児童生徒の能力や可能性を最大限に伸ばし、社会参加・自立の基盤となる「生きる力」を培うことがますます重要となってきています。
このため、各学校においては、一人一人の障害の種類や程度等に応じて、様々な工夫と配慮のもとに、手厚く、きめ細やかな教育を行う努力が重ねられてきています。
本稿では、県内の養護教育諸学校二十三校(分校を含む)の中から障害種別毎にそれぞれの学校の特色ある教育活動を紹介します。
三 特色ある教育活動(障害種別)
【視覚障害】−県立盲学校−
盲学校の卒業生の多くが「あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師」等の資格を取得し、現在各地で活躍しています。これは、高等部保健理療科及び専攻科理療科が、国家試験の受験資格を取得できる教育課程を編成しているからであり、盲学校ならではの特色を顕著に示すものといえます。
小学部、中学部、高等部それぞれの教育活動の一端を紹介します。
小学部〜親子レクリエーション〜
年一回、日曜日を利用し、在籍する児童と保護者と小学部担当教職員が一堂に会し、ゲームに興じたり、楽しく歌うなどレクリエーション活動を通して親睦を図っております。子供たちは、保護者持参のお弁当を囲みながら和やかに過ごします。児童の健やかな発達を促す上でも大変有意義な活動です。
中学部〜市内総合養護・訓練〜
自己の障害に基づく種々の困難を克服し、社会の一員としてより良く生きようとするための資質を養うことを目的とし、福島市内をいくつかのコースに分けて実施しています。
主な内容は左記の項目を総合的に実践するもので、自立を促す意味でも貴重な体験学習となっています。
1 道路の歩き方
2 乗り物の利用の仕方
3 買物の仕方
4 食事の注文の仕方
5 電話のかけ方
6 地図の見方
7 ものの尋ね方 等
高等部〜市立養護学校との交流〜
今年度初めて実施した事業で、視覚障害者と知的障害者がそれぞれの