教育福島0207号(1997年(H09)11月)-041page

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環境教育と子供たちの活動

大熊町立熊町小学校

本校では、子供が本来持っている神秘さや不思議さに目をみはる感性を大切にしながら、地域環境、学校環境を生かした体験、家践活動を積極的に取り入れています。

特に、学校の近くを流れる熊川を素材として各学年で教材化を図ることにより、児童の嬉々として活動する姿が多く見られるようになってきました。

一年生はさまざまな色や形をした小石を拾い集め、図画工作科の造形遊びで学校にある葉と組み合わせ表現遊びをしました。

二年生は「生き物探検」の活動で、今まで見たことのない水生昆虫を見つけ、川の生物の多様性に気づくことができました。

五年生は熊川上流の坂下ダムに生息する「へら鮒」の卵を採取し、メダカと比較しながら観察を継続し、生命誕生の不思議さやすばらしさを体感することができました。

六年生は洗濯の学習の発展として、上流から下流までの水質調査を行い、「きれいな熊川を守りたい」という意識を高めた活動でした。

また、学校環境を生かした活動として、三年生の「みどりっこアドベンチャー」があり、校地内の豊かな樹木を知るきっかけとなりました。

四年生はヘチマ・瓢箪・錦の木・ほおずき・コスモスなどを種から育て、それぞれの植物の違いに気づき、種とりをして来年の四年生にプレゼントする予定でいます。

地域に飛び出し、自然の中で直接体験したことが、児童の感性を育てつつあります。

 

2年生「生き物探検」のようす

 

2年生「生き物探検」のようす

 

森林教室と生徒の活動から

相馬市立玉野中学校

「ひのきの森の空気は、うまい」「私のひのきの背たけ六m、幹の太さ二十p」「森林の滅亡とともに古代文明は滅んだ」は、過日行われた森林教室の場面です。

本校では、森林教室や霊山登山スクリーン作戦、せせらぎスクール、星空観察会などの環境教育をとおして、「ふるさと玉野に学ぶ」一人一研究のテーマを決め、秋の文化祭(かしわ祭)で発表会を行っています。また「ふるさと玉野に触れ、ふるさとに学ぶ」地域素材総合学習の一環として、全校生徒二十六名による森林教室を学校林ひのきの森で開催しています。学校林は、国有林の中に二ha、林齢十四年のひのき五、八五〇本があります。自分の名札をひのきに取り付け「私のひのき」として、樹高、直径南北の枝の成長をスケッチし、下草刈り、枝打ちなどの手入れ、観察調査を続けている。広大な面積のためPTAも下草刈りを援助しています。

森林教室の講話は、「森林の役割について」という内容で、講師は、原町営林署長村山正先生です。

「森林は、酸素はもとより、衣食住に関わり、人間になくてはならないものだ」「松川浦の豊かな魚貝類も森が育てているのだ」「奈良法隆寺はひのき造りで、すでに千三百年も経過した世界最古の木造だ」のお話に森林のもつ偉大さ、神秘さを感じました。「ふるさと玉野に学ぶ」一人一研究がふるさとの再発見に、地域の創造活動と活性化に微力ながらでも役立てば、これに勝てるものはありません。生徒一人一人の活動の成果が認められ全国小・中学校環境教育賞、二年連続ソニー教育賞に輝きました。

 

いずれも「森林教室」のようす

 

いずれも「森林教室」のようす

 

ここで、生徒のひのきへ想いを俳句に読んだものを紹介してみたいと思います。

「冬までに天まで届け我がひのき」

「新緑に伸びる私のひのきあり」

「春ひのき夢匂うなり法隆寺」

 

 

 


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