教育福島0208号(1998年(H10)01月)-049page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育福島0208号(1998年(H10)01月)-049page


博物館ノート

竹島コレクション

原町市在住の故竹島國基氏が採集された弥生時代関係の資料が博物館に収蔵されています。竹島氏は教鞭をとられる傍ら、主に浜通り北部の遺跡の調査に遭進されました。多くの遺跡を発見すると共に、貴重な資料を採集された福島県の考古学のパイオニアの一人です。

多くの採集品の中でも、弥生時代関係の資料は学術的価値が高いものとして注目を集めています。弥生時代は日本列島で稲作農耕が本格的に始まる時代です。稲作とともに、新たな道具類も大陸から伝わった激動の時代ということもできます。竹島コレクションの中にはこの時代の石製の道具が大量に含まれています。稲の穂を摘み取るための「石包丁」をはじめとして、様々な形の石製の斧先、農耕用の石製の鍬などその数は二千点を越えています。

普通、東北地方では弥生時代の遺跡を発掘してもこれらの石製の道具はさほど多く発見されるものではありません。では、なぜ浜通り北部ではこのように多くの道具が見つかるのでしょうか。この問題を考えるには道具の材料である石材の分布が手がかりになります。浜通り北部には相馬古生層が分布しており、石器製作の材料を容易に手に入れることができたと考えられます。現在も硯に使われる粘板岩は弥生時代の石包丁の製作にはもっとも適した石材ですが、今でも上真野川などの河原で簡単に採集できます。これらの石材を使って、浜通りの弥生時代人は盛んに石器の製作を行っていたのでしょう。いわば石包丁は弥生時代-相馬地方の特産品であったのです。

竹島コレクションの整理は現在も継続中です。今後、この地で製作された石器類がどの地域まで運ばれているのか、また石器の製作を専門に行う人々がいたのかなどを調べていきたい考えています。

遺跡踏査中の竹島國

遺跡踏査中の竹島國墓氏

原町市桜井遺跡の石

原町市桜井遺跡の石包丁

故竹島國基氏の採集

故竹島國基氏の採集日誌


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。