教育福島0208号(1998年(H10)01月)-050page
ふるさと探訪
県指定重要文化財(工芸品)
しやくどうせいきんすこう
赤銅製◆子一口
所在地 南会津郡舘岩村大字塩ノ原字昆布沢五二八番地
所有者 泉光寺
千楽山泉光寺は、浄土真宗高田派の寺院で、開基までは遡ることはできませんが、『新編会津風土記』に、弘治元(一五五五)年に僧源龍が中興したという記述がある由緒ある寺院です。
◆子は褥(座布団)の上に置き、読経の時に縁を打棒をもって打ち鳴らす仏具で、銅鉢などとも呼ばれています。
◆子は青銅製が一般的ですが、泉光寺のものは赤銅製の打ち出しで、法量は次の通りです。
総高 一八・六センチメートル
口径 二五・〇〜二六・四センチメートル
最大径 二七・○センチメートル
縁厚 ○・九センチメートル
重量 一・五キログラム
縁に◆で「康永二癸未年五月泉光寺」と銘が刻まれています。康永二年は一三四三年で、南北朝時代初期にあたり、銘文入り◆子としては、県内はもとより東日本でも最古の部類に入ります。
音は澄んで透明に響き、形も優美であり、歴史的にも美術的にも貴重なものです。