教育福島0211号(1998年(H10)06月)-012page
特集2
養護教育の充実
障害のある子供の適正就学
〜「手をつなぎ心通う教育を求めて」〜
養護教育課
一 はじめに
いろいろな原因で、思考、言語、情緒などの精神的な面に、あるいは運動・動作、視覚や聴覚、健康などの身体的な面に、何らかの障害のある子供たちがいます。
この子供たちは、子供が本来持っている能力を発揮する面でも、社会生活を営む上でも多かれ少なかれ困難や不自由な状況に置かれています。このような状況を改善するためには、子供の今ある姿をどのように理解して、どのようにかかわれば、伸び伸びと生活していけるのかを考えていくことが大切になります。
そのためには、次の三点が重要です。
一 障害のある子供の理解と障害の受容
二 最も適した教育の場
三 一人一人に応じた指導
二 子供の理解と障害の受容
一口に障害のある子供といっても、その障害の内容、程度などは一様ではありません。
障害の発見は、まず日常の生活や学校での行動観察から気付くことが多くあります。
・ 本を見るとき頭を傾けたり、顔を極端に近づけたりする。
(目が見えにくいのではないか。)
・ 後ろからや少し離れたところから呼びかけられたり、話しかけられても気付かない。
(耳が聞こえない、あるいは聞こえにくいのではないか。)
・ 身辺生活の処理がうまくできない。学習が遅れがちになる。
(知的な発達に遅れがあるのではないか。)
・ 手足や体全体の動きのバランスがとれないで、ぎくしゃくした歩き方をする。
(運動や動作が不自由な状態にあるのではないか。)
・ 病気にかかりやすく、かかると重くなる場合が多い。また、疲れやすく、回復が遅い。
(慢性の病気にかかっていたり、体が弱いのではないか。)
・ サ行やラ行など特定の行の発音ができない。
(発音や発語に何らかの不自由があるのではないか。)
・ お菓子やおもちゃを取りたいとき、そばにいる大人の手を取って近づけるなど、話すより動作で表す。
(情緒的になにか問題があるのではないか。)
このような状態像から障害があるのではないかとまず考えます。
乳幼児の場合は、障害なのか発達の遅れなのか分かりにくく、発見が遅れてしまうことがあります。
就学前の子供の場合には、できるだけ早期に障害の状況を把握して、障害を正しく理解し受容することが、日常の生活でのかかわりや教育の場を決定していく上で大切です。
保護者の方は、障害があるということでショックを受け、障害を否認し、混乱し、そしてさまざまな努力をします。ですから、子供の障害を受容するまでには、かなりの時間が必要なのです。
三 全職員で教育を
現在、小学校、中学校の通常の学級には、軽度の障害のある子供たちや学習上特別な配慮が必要になる子供たちが、かなり多く在籍しています。
学校における指導の中心は学級