教育福島0211号(1998年(H10)06月)-013page

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であり、その中心的指導者は学級担任です。障害のある子供たちは、他の子供たちと同じように活動することが難しいこともあります。指導の責任を学級担任にだけ押しつけてしまうわけにはいきません。学級・学年を越えた全校的な取り組みが必要です。

そのためには、障害のある子供たちの教育の場や指導の在り方を考える校内の就学指導委員会の体制を確立し、組織的に連携を取り合うことが重要です。校内の就学指導委員会を軸に、全職員が障害のある子供に関心を持ち、指導にあたることが大切です。

また、学校と家庭との連携を図るためには、保護者の方との時間を十分にかけた教育相談が必要です。教育相談では、説得するのではなく、納得のいく相談を心がけることが大切です。さらに、教育関係の相談機関との連携も必要です。

県教育委員会では、福島県養護教育センターで、障害のある乳幼児、児童生徒の教育相談、巡回就学相談や地域の教育相談室における教育相談を実施しています。

なお、教育相談、巡回就学相談の連絡先は、表一のとおりです。

 

四 望ましい教育の場

小学校や中学校の通常の学校における教育では、十分な教育効果が期待できない障害のある子供たちに対しては、その障害の状態や発達段階、特性などに応じて適切な教育環境を整え、その可能性を最大限に伸ばし、可能な限り積極的に社会に参加できるように特別な配慮のもと、適切な教育を行う必要があります。

障害の状態やその状態に応じた教育の場としては、盲学校、聾学校、養護学校(精神薄弱、肢体不自由、病弱)、特殊学級、通級指導教室があります(表二)。

障害のある子供たちの最も望ましい教育の場を決定する場合には、養護教育の経験豊富な教員等による観察・検査、専門医による診断等に基づいて、教育的、心理的、医学的な観点から総合的にかつ慎重に行うことが重要です。

 

さつまいも堀り

 

さつまいも堀り

 

五 一人一人に応じた指導

障害のある子供の困難さや不自由な状態は、周囲の配慮によって重い状態にも軽い状態にもなります。子供だけを指導や処遇の対象にするのではなく、周囲の人や生活環境の調整を図ることも大切です。

また、子供の身になって子供の行動を理解することも大切です。一般の規範で子供の行動を見ていくと、「困った行動にと見えることが多いかもしれません。どのような状況のときに、どんな行動をとっているのかよく見極めることが必要です。

指導にあたっては、子供の行動の意味を考えながら、なにができるのか、どのようにすればできるのかを探りながら、子供の主体性を大切にして、子供のできることを更に伸ばしていく指導を心掛けることが大事です。

そのためにも、子供一人一人の発達段階や能力、特性等を的確に把握し、個別の指導計画を立てて指導にあたることが大切です。

また、全校的な指導態勢が必要です。このことは、通常の学級、通級による指導教室、特殊学級や盲・聾・養護学校のいずれにおいて指導する場合にも言えることです。

 

ベッドサイドでの学習

 

ベッドサイドでの学習

 

六 おわりに

障害のある子供たちが生き生きと、そして持っている能力を最大限に発揮し、社会参加・自立を図っていくためには、一番適した教育の場はどこかを求め、適切な教育や生活条件の整備などによってさまざまな困難や不自由な状態を改善することが、主体的な生活を営む上で大切なことです。

そのためには、まず、障害のある子供や養護教育に対して、正しい理解と温かい協力が必要です。保護者、学校、教育関係機関がともに考え、ともに手をつなぎ、心通わす教育をめざしていきたいものです。

 

 

 


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