教育福島0211号(1998年(H10)06月)-023page
随想
日々の想い
ずいそう
最後の授業参観から
佐々木芳三郎
卒業式を間近に控えた、小学校最後の授業参観。『家族への感謝の心』を、呼びかけと演奏や合唱で表現させてみた。
「私の夢のことをお母さんに話したとき、『やればできるよ。がんばりなよ』と励ましてくれました。今でもその言葉が胸に残っています。お母さん、ありがとう」
「試合のときにはいつも応援に来てくれて、そして練習相手にもなってくれたお父さん。ぼくがスポ少をがんばれたのはお父さんの励ましがあったからです。お父さん、ありがとう」
カーペンターズのBGMに乗せて、子供たち三十七名一人一人が、自分の思いを自分の言葉で語りかける。
「家族旅行をしたとき、家族全員で家の仕事をしたとき、みんなの心が一つになって、家族っていいなあって思いました」
「ぼくが、お父さんお母さんに贈る言葉はただ一つです。今までありがとうございました」
授業も後半に入ると教室のあちらこちらで参観された家族の方々の涙にむせぶ声が聞こえてきた。
練習のときには照れ臭そうにしていた子供たちも、本番では、緊張しながらもみな心を込めて、そしてほとんどの子が涙を見せていたことに大変驚き、心を打たれた。家族なら言葉がなくても通じ合うことができるはずだと言われそうだが、子供たちの涙を考えてみたとき、言葉にすることによって改めて愛されている自分を確認したように思えた。
人はだれかに愛されることによって、自分を愛することができるのではないだろうか。五木寛之著『大河の一滴』に「自分を愛していない人間は他人を愛することができない。自分の命が重く感じられないということ、自分が透明で軽くしか考えられないという立場からは、他人の命というものも重さが感じられないのではないか」というくだりがある。
人の命の尊さを考えさせられる事件が相次いで起きている昨今、私たち教師も、家族の方々と同じように、常に言葉と態度で「あなたのことを愛している」と子供に語りかけ、愛されている自分、かけがえのない自分を強く実感させる必要があるように思う。
(月舘町立月舘小学校教諭)
師をこえて
大竹由紀子
「青は藍より出でて藍より青し」青い色は藍草から作るが、藍草よりさらに青いというところから、出たもとよりもすぐれていること