教育福島0213号(1998年(H10)09月)-007page
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一kg減量できる計算になる。さらに、紙資源の段ボールを持ち帰れば〇・〇五kg減量化できる。こうして分別内容ごとに観察して、みんなで何が減らせるかを考えれば達成できない数字ではない。
秋には約三万人分のデータ分析が終わる。量だけではなく、質の問題もある。灰皿に使われた空き缶、袋から突き出したバーベキューの串、安達太良山の空気まで詰め込んだゴミ袋(減容積化も大切なテーマ)、夜間テントの外に平気で放置しているゴミ袋(野生動物との共生も大切なテーマ)、そして分別正解率が不燃物で八三・三%、可燃物で六四・四%など取り組むべき課題はまだまだ多い。
しかし、この夏一番印象的だったのは、ゴミ作業に携わった延べ二十名のアルバイトの若者たちの受け止め方だった。時には怒り、時には悲しみ、時には面白がり、時には考えたり、凄まじい程ビビッドな反応を見せてくれた。とくに、生ゴミの内容を残飯と本物のクズに分ける作業は一番の人気だった。さすが本物体験の迫力である。確かに、ゴミは面白い。
今後は、ゴミ観察の教育プログラム、ゴミから作った商品の販売、残飯を使っての料理コンテストなど楽しく学べるイベントを企画したいとワクワクしている。若者たちを見ていて感じたのは、性急に減量化の実績を急ぐより、ゆったりゴミウオッチングを楽しむことの方が、将来必ずいい結果に繋がるだろうと確信できたことだった。
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学生アルバイトたちと"これ、ゴミじゃないよ!"
【著者紹介】
溝口俊夫・みぞぐちとしお
〔略歴〕
一九四七年 埼玉県生まれ
一九六六年 横浜国立大学工学部安全工学科にて主に公害問題を専攻
一九七〇年 横浜国立大学大学院工学研究科にてシステム工学専攻
一九七七年 岐阜大学農学部獣医学科外科学教室
一九八一年 福島県農業共済組合連合会二本松家畜診療所獣医師
同年 県下でニホンカモシカに扁平上皮癌と類似した症状を伴う伝染病が発生。県教育長の委嘱により治療及び病因の究明を行い、パラポックスウィルスによる感染症と鑑定。
一九八二年 同関係研究にて県知事賞を受賞
以後、産業動物の治療に従事する傍ら、県下で病傷のため保護された野生動物の治療、不明死鳥獣の病理鑑定等を行う。
一九八五年四月 福島県県民の森チーフレンジャー・福島県鳥獣保護センター専任獣医師となり環境教育・野生動物保護教育に従事する。
一九九八年四月 福島県民の森の管理主体がフォレストエコライフ財団に変わり、財団に移籍、現職となる
〔資格・所属等〕
獣医師、工学修士、日本野生動物医学会理事・農林水産大臣認定森林インストラクター、(財)日本自然保護協会自然観察指導員講習会講師・福島県環境アドバイザー、福島県森林インストラクター協会副会長、福島県スキー連盟公認クロスカントリースキー指導員
〔主な著作〕
「森の動物と生きる五十の方法」(ブロンズ新社)
「野生動物教護ハンドブック」(文永堂・共著)
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