教育福島0214号(1998年(H10)07月)-050page

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ふるさと探訪

県指定重要文化財(彫刻)

木造薬師如来立像一躯

所在地 南会津郡田島町大字田島字本町甲三八七ニ番地の一

所有者 薬師寺

本像は、カツラ材の寄木造で、彫眼、素地仕上げの像高一五八・五pの仏像です。像は側頭部の盛り上がりの強い地髪と低平な肉暑の正面中央にそれぞれ毛筋目を陰刻線で渦状に巻き、両脇を体側に密着させて直立正面しています。右手と薬壷は後補のものですが、これ以外は造像時の姿をよくとどめています。

また胎内から銘文が発見されており、建治四年(一二七八)に仏師橘定光によって造像されたことがわかりました。体幹部の肉付けは乏しく、抑揚に欠け、鎌倉期の仏像に見られる写実性の伝統は影を潜めていますが、補材を用いず、体幹部と両袖

の四材からの大胆な木取りと正面観照性に重点を置いた本像の造形技法は十三世紀後半の造像としては稀有に近い作例です。その意味で単なる地方作としてかたづけることはできず、仏師定光の独創性が発揮された作品として貴重なものです。

なお、本寺には阿弥陀如来坐像(県指定)も安置されています。

県指定重要文化財(考古資料)常世原田遺跡出土品

県指定重要文化財(考古資料)常世原田遺跡出土品一括

所在地 会津若松市城東町一番二五号福島県立博物館

所有者 福島県

常世原田遺跡は、耶麻郡塩川町大字常世にあり、雄国山麓の広大な斜面に営まれた縄文時代早期・中期・後期前半の遺跡です。遺跡の中央部分からは縄文時代早期の土器破片・石器が集中的に発見されており、後述する特色から常世式土器と命名され、標識土器となった貴重なもので、この遺跡は昭和五十四年に県指定史跡となっています。

本出土品の大部分を占める早期中頃の縄文土器破片(二、八三五点)は、薄手で口縁は波状、底は尖底でその先端が乳頭状となる場合が多いという特徴を持っています。また文様としては、沈線文と貝殻の縁の圧痕文、そして細

い縄を巻き付けた棒を押しつけた絡条体圧痕文などがあります。

この出土品は昭和二十二年に吉田格氏の発掘によるもので、県立博物館の開館時に本県に譲渡されました。これらの資料は、当遺跡が史跡として重視する根拠であり、研究史の上でも貴重なものです。


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