教育福島0214号(1998年(H10)07月)-049page

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博物館ノート

松平容保所用

煙草盆・提重・重硯箱

会津藩最後の藩主、松平容保(かたもり)は幕末の激動を生きた人物として、歴代藩主のうち最も名の知れた人物ではないでしょうか。その容保ゆかりの品が、博物館にもいくつか収蔵してあります。

「紫檀蒔絵煙草盆(したんまきえたばこぼん)」は、抽斗(ひきだし)付の箱の上に煙草の火種を入れておく火入(ひい)れと煙草の吸い殻を叩き落とす灰吹(はいふき)をはめ込んだ、盆というよりは箪笥(たんす)に近い煙草盆です。紫檀の木肌に金箔も用いた蒔絵の美しい、全体に能に関する意匠を散りばめた趣のある煙草盆です。

「藤蒔絵飾提重(ふじまきえかざりさげじゅう)」は、全体に金と銀で藤の花を描いた華やかなものです。携帯用に食器や酒器を組み合わせた提重は、花見などの行楽に用いられました。

「葵紋散牡丹蝶蒔絵重硯箱(あおいもんちらしぼたんちょうまきえかさねすずりばこ)」には、松平家の葵の紋が諸処に散らされ、富貴の花・牡丹と蝶が蒔絵されています。硯と筆、墨、水滴を備えた硯箱を五段重ねにしたものです。

容保は、戊辰戦争の終結まで混乱と戦の中に身を置かざるを得ませんでしたが、彼が愛用したという品々からは、容保の"文"の側、画が窺われます。

紫樺蒔絵煙

紫樺蒔絵煙草盆

葵紋散牡丹蝶蒔絵重

葵紋散牡丹蝶蒔絵重硯箱

藤蒔絵飾


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藤蒔絵飾提重