教育福島0217号(1999年(H11)02月)-006page

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提言

 

歌い続けてよ子守歌

 

声優

 

声優

森和美

 

元気な男の子を出産した歌手の安室奈美恵が、昨年暮れ、テレビで一年ぶりの復帰記者会見に応じていた。あのキュートな小顔もふっくらして、優しくなった印象を受けた。

「子守歌は歌いましたか?」いみじくも男性記者が質問した。彼女ははにかんだような声で、「いいえ、何を歌っていいのかわからなくて、まだ歌っていません」

「まあ勿体ない。今こそ愛する坊やのために、あなたの子守歌を歌っておやりよ、安室ちゃん!」私はテレビに向って叫んだ。

いざ鎌倉!気がついたら、知人の若いお母さんのもとへ駆け付けていた。

「それって、私も歌ったことないヨ。てれくさいって言うか、時代遅れって言うか−−。それに今どきの赤ん坊は、子守歌なんて歌わなくとも眠ってくれるモン」と言いながらも山形県出身の彼女は、幼い頃母親が歌ってくれたというユニークな子守歌を披露して、「どう?いい歌でしょ?」ときた。

てれたり、時代遅れと言うのは勝手だが、それは情報と知識に固められた、頭デッカチな言葉に聞こえてくる。テクノロジーの普及と引き換えに、子守歌は惜しげもなく捨て去られようとしている現実にガクゼンとした。

赤児にとって誰よりも身近かで親しい母親が、慈愛あふれる声で、歌ったり話し掛けたりすることは、赤児の感性を磨き、将来の人格形成のベース作りに、最大の効果をもたらすに違いない。わが子のために、心を込めて歌う歌は、

 

 

 


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