教育福島0217号(1999年(H11)02月)-030page

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教育ひと口メモ

わかりやすい教育法令解説

就学義務の猶予・免除

〜養護教育を中心として〜

 

一 考え方

 

教育を受けることは、国民にとっては権利であり(憲法第二十六条)、保護者は子女を小学校・中学校または盲学校・聾学校若しくは養護学校に就学させる義務(就学義務)を負う(学校教育法第二十二条、第三十九条)。この保護者の義務を猶予または免除することができることを、同法第二十三条及び第三十九条第三項、同法施行規則第四十二条で定めております。

本県の就学猶予・免除者数(障害児)の推移グラフを掲載しました。昭和五十四年養護学校の義務制施行以来、猶予・免除の件数が急激に減少しております。

 

二 対象者

 

就学困難と認められる者の保護者に対する就学義務の猶予・免除については、学教法第二十三条等で、次のように定めております。

(1) 病弱による場合

(2) 発育不完全による場合

(3) その他やむを得ない事由の場合

養護教育関係では主に、(1)(2)の場合が対象となります。

(1)について、以前は、病気が治ってから勉強すればよいという考えが強く、長期の医療を必要とする者は、当然のごとく猶予・免除の対象とされてきましたが、最近の医療では、慢性疾患の者に対する教育の効果が見直され、猶予・免除の考え方が変わってきております。

(2)について、該当するのは最重度の障害児です。養護学校の義務制施行以来、最重度の障害児に対する教育も確実に保障され、この子供達は、教育によって生きがいを見い出しているだけでなく、教育を受けることにより生命の延長にもつながっております。

以上の観点からも、就学義務の猶予または免除を認める場合はできるだけ厳正に解されるべきものであり、その認定については、慎重に行われております。

 

三 就学猶予・免除の解除者の編入学年

 

就学義務の当該猶予の期間が経過し、または当該猶予若しくは免除が取り消され、小学校または中学校に就学させる場合、当該子女をその年齢及び心身の発達状況を考慮して、校長は、年齢相当の学年まで編入させることができます(学校教育法施行規則第四十三条)。つまり、編入学年の認定は校長の裁量によることになります。

具体的な事例を紹介します。

 

・小学校四年終了後、二か年就学猶予の場合

 

小学校の課程を修了しない者を中学校に入学させることはできません(学校教育法第二十二条)。まず、小学校の相当学年に編入させ、その後は、学年を追って進級させることになります(同法施行規則第四十三条)。

 

本県の就学猶予・免除者数の推移(障害児)

 

・中学校一年終了後、二か年就学猶予の場合

 

・中学校一年終了後、二か年就学猶予の場合

 

就学義務が猶予された場合、満十五歳に達した学年の修了によって就学義務はなくなり、よって、保護者はこの子女を中学校に就学させる義務がなくなります(学校教育法第三十九条、昭二八・五・一五文部省初等中等教育局長回答)。

ただし、保護者が居住する市町村教育委員会に就学を申し出、当該教育委員会の承認があれば、就学させることができます(昭二七・一〇・二一文部省初等中等教育局財務課長回答)。

 

 

 


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