教育福島0218号(1999年(H11)4・5月号)-015/52page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]


り、個々の児童生徒の自己指導能力の育成を図る。

このためには、生徒指導は「児童生徒の理解に始まり、理解に終わる。」と言われているように、児童生徒理解を深めることが基本であり、教師と児童生徒の信頼関係が基盤になければならない。


1 生徒指導本来の姿

(1) 生徒指導の機能からの見直しすべての児童生徒に自己指導能力を育成するために、生徒指導の機能を、教育課程の特定の領域や内容に偏ることなく、学校の教育活動のすべてにわたって十分作用させることが大切である。

「すべての児童生徒を対象に、すべての教育活動において」現在の自校の教育活動が次の生徒指導の機能を生かしたものになっているか、改めて問い直したい。

○自己存在感を与えること

○共感的入間関係の育成

○自己決定の場を与えることと、自己の可能性の開発援助


(2) 積極的な生徒指導を

生徒指導はともすると、児童生徒の非行や問題行動への対応など消極的な面に追われがちである。

もちろん、緊急に対応すべきことも重要だが、一方で、生徒指導は、すべての児童生徒一人一人の自己実現を援助し、自己存在感を与えるようになることを目指していることを忘れてはならない。

このように生徒指導を、より積極的な活動としておさえ、日々の学校教育活動を充実していけば、
結果として非行や問題行動への対応に追われることが少なくなる効果も期待できる。


2 計画と体制からの見直し

(1) 指導計画を使えるものにすべての学校教育活動において、意図的、計画的に指導できるようにするためには、生徒指導の全体構想と、具体化した指導計画等の作成が求められる。また、その指導計画等が学校教育活動の中で機能的に働いているかどうか、次の点からの検討も大切である。

○生徒指導上の課題と教師の基本的な指導方針を明確にする。

○生徒指導にあたる場と機会についての共通理解を図る。

○生徒指導の組織・役割と運営方法を明確にする。

○家庭、地域社会、関係機関や諸団体等との連携方法や基本的な考えを明確にしておく。


(2) 機能する指導体制に

最近、前兆をとらえにくい問題行動やこれまでの通念では測りきれない問題行動への対応が指摘されている。今まで以上に、次のような点から、日頃の指導体制の整備・充実が求められている。

○児童生徒の行動の変化等からその実態や要因等を的確に判断するため、個々の教職員が入手した情報を生徒指導主事等に連絡し、一元的に把握する。

○児童生徒の状況について、校内外の生徒指導等の会議で情報交換し、総合的に分析する。

○全教職員間で情報を共有し、足並みを揃えた指導をする。

○各校間の連携を密にする。


(3) 緊急対応体制の確立を

万が一、児童生徒の問題行動が起きた場合に備え、次の点からその体制の確立が望まれる。

○校長、教頭をはじめとする緊急対応の体制を策定して、学校としてどのような機能、役割が必要になるかを明確にしておく。

○全教職員が一致協力できる内容・方法等について全教職員間で共通理解を図っておく。

○学校が児童生徒に適切に対応するためには、関係機関との積極的な連携を図る必要がある。

 その際、関係機関等との窓口を生徒指導主事に一元化するなど、その連絡調整の任にあたる者を明確にし、対外的にも周知させておくことが必要である。


3 いじめへの対応

いじめは「自分より弱い者に一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加え相手が深刻な苦痛を感じているもの」とされている。しかし、教師側から見て深刻そうでなくとも、継続的でなくとも、本人や家族などからのいじめの訴えがあったら、真剣に受け止め、その解決のために全力を尽くそうとする姿勢が大切である。

(1) いじめを見ぬく

遊びは入れ替わり順番で鬼などが決められる。また、けんかは、身体的にも心理的にも対等な関係にある。ところが、いじめは、特定の子に一方的・長期的に行われ、時には陰湿的な攻撃がある。

「いじめられている子、いじめている子、見てはやしたてる子、見


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。