教育福島0218号(1999年(H11)4・5月号)-032/52page

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特集3

養護教育の充実 1)

通級指導教室の実践

養護教育課



はじめに

「通級による指導」は、小・中学校の通常の学級に在籍している軽度の障害のある児童生徒が、主として各教科等の指導を通常の学級で受けながら、障害の状態の改善・克服に必要な特別の指導を特別の指導の場で受ける教育の形態です。

この制度は、学校教育法施行規則の一部改正と文部省告示により、平成五年度から実施されています。

当初は、全国で約一万二千人の児童生徒が、この通級による指導を受けていましたが、その数は年々増加を続け、平成九年度には、全国で約二万三千人となっています。

通級による指導により、障害を改善・克服するために必要な指導が児童生徒のニーズに応じて受けられる上に、通常の学級における授業においてもその指導の効果が発揮されるなど、指導の効果は大きいものがあります。

ここでは、通級による指導の概要と本県における現状について述べるとともに、言語障害児に対する指導事例を紹介します。


一 『通級による指導」の概要

1 指導の対象となる児童生徒

通級による指導の対象となるのは、小・中学校の通常学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導が必要な児童生徒です。入級に当たっては、通級に要する時間等も十分考慮し、総合的かつ慎重に判断する必要があります。通級による指導を行うことが適当な児童生徒の障害の種類と程度については、表1のとおりです。

なお、知的障害については、発達の遅れや特性から、小集団の中で発達段階に応じた特別な教育課程により指導することが効果的であることから、通級による指導の対象とはなっていません。

また、学習障害については、現在、実態把握の方法や適切な指導方法等について検討している段階であることから、通級による指導の対象には含まれていません。


2 通級指導教室

通級による指導を行う「特別の指導の場」を「通級指導教室」と呼んでいます。また、通級指導教室が設置されている学校を「通級

表1 通級による指導の対象とすることが適当な児童生徒の障害の種類及び程度
(平成5年1月28日付け文初特第278号初等中等教育局長通達)
1 言語障害者

日蓋裂、構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のあるもの、吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者、話す、聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがある者、その他これに準ずる者で、これらの障害が主として他の障害に起因するものではないもの。

2 情緒障害者

自閉、かん黙等情緒障害のある者で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの。

3 弱 視 者

両眼の視力が矯正しても8.1以上0.3未満の者又は視力以外の視機能障害が高度の者のうち点字による教育を必要としない者で、通常の学級での学習におおむね参加でぎ、一部特別な指導を必要とするもの。

4 難 聴 者

両耳の聴力レベルが100デシベル未満60デシベル以上で、補聴器を使用すれば通常の話声を解するに著しい困難を感じない程度の者又は両耳の聴力レベルが60デシベル未満で補聴器を使用しても通常の話声を解することが困難な程度の者で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの。

5 肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者

軽度の肢体不自由者、病弱者又は身体虚弱者のうち、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの。ただし、通級による指導の必要性については、特に慎重な判断を要すること。


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