教育福島0218号(1999年(H11)4・5月号)-051/52page

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ふるさと探訪
ふるさと探訪

県指定重要文化財(彫刻)

もくぞうしょうとくたいしりゅうぞう いちく

木造聖徳太子立像 一躯

所在地 耶麻郡塩川町大字金橋字金川二〇九〇

所有者 宗教法人金川寺

本像は、カツラ材の寄木造で、彫眼、彩色の像高一〇二・七センチメートルの仏像です。

会津地方では、中世から近世にかけて、阿弥陀如来像と聖徳太子像を安置し、念仏を唱える太子守宗という宗派が活動し、各地に太子像が残されています。この宗派は会津藩の宗教整理政策により、元禄期に姿を消しました。

金川寺の太子像は、髪を美豆良(みずら)に結い、丸衿(えり)の抱(ほう)を着け、左肩から袈裟をかけ、沓をはき、直立して胸の前に柄香炉(但し亡失)を捧げる十六歳孝養太子の姿を示しています。

両肩先から直角に曲げる両肘の分節も的確で、その上から両体側に重く垂れる大袖の深く、強い彫り口に本像の作風の特色がよく表されています。この像は鎌倉時代後半にこの地方で制作されたと考えられていますが、作者は伝統的な仏所の拘束から解放され、独白の作風を確立しています。

なお、本郷町常勝寺の聖徳太子像が昭和五十五年に県の重要文化財に指定されていますが、これは七歳経巻太子像の姿をとっています。

木造聖徳太子立像 一■




県指定天然記念物

伊佐須美神社のフジ

所在地 大沼郡会津高田町字宮林甲四三七七番地の一

所有者 宗教法人伊佐須美神社

このフジは、神社の樹叢のなか、本殿東約一一メートルのところにあり、目通り幹囲二・七メートル、根回り二・九メートルの大木です。その南東約四メートルのところにあるシラカシを主な支持木とし、その樹冠頂に広く展開しています。主な展開域は、フジの根本から東へ八・ニメートル、西へ一二・二メートル、南へ二丁四メートル、北へ九・一メートルに及びます。伸長する枝の一部はさらに伸びて、シラカシの東約七メートルのスギの大木を渡り、その東約五メートルのケヤキにまで伸びています。また、主な支持木であるシラカシにフジが取りついている高さは、地上一五メートルのあたりになります。

フジの花期は五月中旬頃で、地上高く華麗な花序を鈴生りに下げます。地域の人々は、「飛竜のフジ」、「登竜のフジ」、「瑞木のフジ」などと呼んで尊重しています。神域樹叢の一員として手厚く保護されてきたので、わが国でも第一級の大木となりました。

植物学的にも、また、地域文化のうえからも貴重であり、県指定天然記念物として指定されました。

伊佐須美神社のフジ


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