9 水圧の性質と浮力に関する問題
水圧と浮力は教科書では別な単元として扱われていますが、力という共通の概念で説明できます。理科では、できるだけ共通する概念で事象を説明することが大切であり、そのことにより科学的な見方や考え方を養うことができます。正答率は、問1が八七・七%、問2の大小関係が六一・九%、理由が五一・〇%、問3は八・八%です。問3は、圧力の定義、水圧の性質、力の関係の三つの要素を考慮に入れて実験結果を推測する問題であり、高度な思考力が要求されました。生徒自らが理解する喜びを味わいながら、意欲的に学習する態度を育成することが大切です。
■ま と め
出題の基本方針に沿って、基礎的・基本的な問題から思考力を要する応用的な問題まで幅広く出題しました。学力検査の結果をみると、次のような指導の充実が望まれます。
一 基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせる指導各小問を正答率別に分類すると、三十五問中、正解率が八〇%を超える問いが四問、二〇%未満の問いが二問、四〇%〜五〇%の問いが十七問でした。各大問ごとに基礎的・基本的な内容の問題が少なくとも一問は出題されていますが、必ずしも正答率が高いものばかりではありませんでした。基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせる指導の充実が求められます。
二 「なぜ?」という疑問を大切にする学習
理科は身の回りの自然事象の「なぜ」について考え、科学的な見方や考え方を養う教科です。毎日の学習の中で、いろいろな自然現象について「なぜ?」という疑問を持たせ、「〜だから、〜になる」というような考える学習を積み重ねることが大切です。
また、文章で解答する問題を五題出題しましたが、正答率は必ずしも高くありません。題意に沿った文章で解答する力を育成する指導をさらに充実させる必要があります。
6 次の実験について、(1)〜(3)の問いに答えなさい。
(1) 発生した気体の性質を確かめるとき,はじめに出てくる気体は用いないで,しばらく発生
させてから集めた気体を用いるほうがよい。その理由を書きなさい。
(2) この実験でできた銀と酸素は,単体である。次のア〜オの化学変化において,単体が できるものはどれか。一つ選びなさい。
ア 鉄と硫黄を混ぜ合わせてアルミニウムはくの筒につめ,熱する。
イ 酸素を満たしたフラスコの中で,スチールウールを燃やす。
ウ 硫酸銅水溶液に,塩化バリウム水溶液を加える。
工 水素と酸素の混合気体を試験管に入れ,点火する。
オ 酸化銅と炭素を混ぜて試験管に入れ,熱する。
(3) 酸化銀7.00gを,気体が発生しなくなるまで加熱すると,何gの酸素が発生するか。
上の実験結果をもとに求めなさい。
理科 学力検査正答率 ( )内は部分正答率
問 題 小問 正答率(%) 1 身の回りの事象に関する小問集合 (1) 80.4 (2) 44.5 (3) 1) 47.8 2) 43.1 (4) 80.5 (0.1) 2 第2分野(生物)についての問題 (1) 81.7 (2) 55.8 (0.2) (3) 25.4 (0.1) 3 第2分野(生物)についての問題 (1) 50.7 (2.0) (2) 77.5 (0.1) (3) 39.0 (1.2) 4 第2分野(地学)についての問題 (1) 56.7 (2) 29.8 (3) 1) 20.7 (0.2) 2) 20.5 (0.3) 3) 19.6 (0.2) 5 第2分野(地学)についての問題 (1) 1) 55.2 (0.2) 2) 58.4 (0.2) (2) a 64.1 (1.0) b 41.1 (0.2) 6 第1分野(化学)についての問題 (1) 58.8 (1.3) (2) 51.4 (3) 50.5 7 第1分野(化学)についての問題 (1) 59.3 (0.2) (2) 44.8 (2.3) (3) A 69.5 (1.3) C 32.8 (0.1) 8 第1分野(物理)についての問題 (1) 78.6 (2) 1) 46.7 (0.4) 2) 47.6 (0.3) (3) 29.7 9 第2分野(物理)についての問題 (1) 87.7 (0.3) (2) 大小 61.9 (1.4) 理由 51.0 (0.7) (3) 8.8 (0.4)