教育福島0220号(1999年(H11)7・8月号)-006/52page

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提言

感性を育む 

松本忠清

福島県中学校長会長
松本忠清

次の文章は、平成十年度の本校の卒業文集からの引用である。

(私の中学校生活の一番の思い出は吹奏楽部でのたくさんの思い出です。練習がつらかったり、仲間同士でトラブルがあったり、楽器が思うように吹けなかったり……でも今では三年間続けてよかったなあと思います。今年の東北大会前は、初めての審査ということでみんなが不安になり、 前日には四人が病院で点滴を受け、ステージにあがりました。しかし本番では「自信をもって積極的に感動を与える演奏をする」という目標が達成でき、部員はもちろん先生まで感動で涙がとまりませんでした。)

この生徒たちと同じ感動を共有でき本当に嬉しかった。 さらに、全日本吹奏楽コンクールで前年度に続き金賞を受賞した。卒業生は、三年連続全国大会に参加したことにな る。生徒たちが厳しい練習に耐えられたのは、連続して晋門館に出場した者のみが知る目標の高さにあった。自らが掲げた目標をこうすれば達成できるという体験が強い自信となり、さらに一段高いものを求めようとする祈りにもにた心情になっていたのだろう。

さて今回の教育改革も、新学習指導要領の告示により全容が明らかになり、その実現を学校に求められる時になっ た。完全学校週五日制の下で、各学校が「ゆとり」ある教 育活動を展開して生徒たちに〔生きる力〕を育むことが、 我々教師の使命である。〔生きる力〕は、理性的な判断力や合理的な精神だけでなく、美しいものや自然に感動する心といった感性を含むものである。この感性はもって生まれ たものではなく、指導や環境によって磨かれ、さらに豊か


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