教育福島0221号(1999年(H11)9月号)-016/52page
特集2
学社連携・融合フロンティア事業
生涯学習課
一 はじめに
未来を担う子供たちに「生きる力」をはぐくむことは、重要な課題であり、そのための学校・家庭・地域社会の連携・融合の推進は早急に取り組まなければならない今日的な課題です。
国においては、「国立青年の家・自然の家の改善について」(平成七年七月協力者会議報告)の中で、今後の国立青年の家・少年自然の家の在り方の一つとして、学校が青少年教育施設を効果的に活用できるよう、「学社融合」の考え方が初めて公に提言されました。
また、「地域における生涯学習機会の拡充方策について」(平成八年四月生涯学習審議会答申)においても、「学社融合」について「学校教育と社会教育が、それぞれの役割分担を前提とした上で、そこから一歩進んで、学習の場や活動など両者の要素を部分的に重ね合わせながら、一体となって子供たちの教育に取り組んでいくという考え方であり、学社連携の最も進んだ形態」であると述べています。
さらに、第十五期中央教育審議会第一次答申(平成八年七月)においても、今後の教育の在り方として、子供たちに、「ゆとり」の中で、「生きる力」をはぐくむことを基本に据え、「学校・家庭・地域社会での教育が十分に連携し、相互補完しつつ、一体となって営まれることが重要」とし、三者の連携の一層の促進と教育機能が総合的・一体的に発揮できる教育環境の整備を求めています。
このような中、平成十一年三月福島県社会教育委員の会議から、「生涯学習社会における学社連携・融合の在り方と社会教育活動の振興について」という提言がまとめられ、本県の学社連携・融合の促進が求められました。
この提言を具現化するため、本年度の県教育委員会の重点施策として「学社連携・融合の推進」を掲げ、「学社連携・融合フロンティア事業」を推進することとしました。
以下に、その提言の関係部分と「学社連携・融合フロンティア事業」の概要について述べます。
二 「生涯学習社会における学社連携・融合の在り方と社会教育活動の振興について」(提言)
1 生涯学習社会における学社連携・融合の意義
(1)学社連携・融合の意義
学社連携は、「主体」は学校と社会教育のいずれか一方で、他方はその補助的支援に回るという主従の関係であるが、学社融合の場合は、学校教育と社会教育の双方が主体になり、他方の教育機能・学習作用を取り入れる状態となる。
(2)学社連携・融合の必要性
ア 子供たちをめぐる環境の変化と教育課題
今日、社会環境の中で、子供たちは直接体験の機会が減少し、日常生活に必要な技能や態度が十分に得られないでいる。人間関係能力や困難への耐性、自立した考え方や行動力、倫理観などの不足が教育上の課題として捉えられる。
イ 子供の「生きる力」の育成と学社連携・融合
第十五期中央教育審議会の第一次答申は、「生きる力」を今後の子供の教育目標として提言している。「生きる力」をはぐくむには、学校だけではなく、家庭や地域社会が教育機能を十分に発揮することが大切であり、同時に、学校・家庭・地域社会が連携し、相互補完しつつ一体となっ