教育福島0221号(1999年(H11)9月号)-049/52page
博物館ノート
涅槃図 相馬市 相馬妙見観喜寺
企画展「生の中の死」
会期 十月九日〜十二月十二日
近年、「安楽死」・「尊厳死」・「癌の告知」、また若者の自殺や殺人等という人間の生と死をめぐる話題が、マスコミを賑わしています。一方、テレビや映画やゲームでは、人間が容易に、そして無惨に死んでいく場面が頻繁に登場しています。
では、このような状況の中に生きる現代人は、死についてどのように考えているのでしょうか。死を別世界のことのように感じて、架空の死を楽しんでいるだけなのではないでしょうか。
昔の人間は、磔や晒し首や野垂死等の本当の死体を数多く見ることによって、人間の死を、そして、生を、各時代に生きた人々なりに考えていたのではないでしょうか。また、彼らは「自らの子どもを生かすのか、それとも『マビク』のか」といった場面で、どのように悩み、どのように自らを正当化させたのでしょうか。
本企画展は、人間が生と死に対して持つ意識の変遷を描き出すことを目的としています。死を考えることは、その前提として生を考えることです。自らの、そして、他人の生を見直す機会であってほしいと思います。
企画展観覧料
一般・大学生 二六〇円(二一〇円)
高校生 一五〇円(一二〇円)
小・中学生 一〇〇円(八〇円)
※( )内は二〇名以上の団体料金
生湯絵馬 白河市 子安観音堂
貧民の火葬 京都外国語大学付属図書館蔵