教育福島0224号(2000年(H11)1月号)-045/48page

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美術館だより

美術館だより

県立美術館コレクション紹介2

自己表現への道・日本洋画

自己表現への道・日本洋画


油絵の具や水彩、アクリル、テンペラなど、本来日本にはなかった西洋の画材によって描かれた絵画をわたしたちは「洋画」と呼んでいます。「洋画」が本格的に日本に普及し始めたのは明治維新以降のことでした。技術の習得が進むとともに、絵画のあり方自体にも大きな変化が現れ始めます。それまで生活と密接に結びつき、空間や物を飾る役割を担っていた絵画が、次第にそこから離れ、やがて作家の自己表現へと向かうようになっていきました。

大正時代は、特に個性的な作家が多く現れた時代です。その中でひときわ光彩を放つのが、福島県白河出身の夭折の画家・関根正二(1899−1919)でした。絵はほとんど独学でしたが、西洋の画家の画集を見たり、同時代の様々な作家との交友を糧に、神秘と夢に彩られた幻想的な画風を展開しました。

「麗子像」などで知られる岸田劉生(りゅうせい)(1891−1929)もまた、画家の内なる目でものを見つめようとした画家です。北方ルネッサンス絵画の影響を受けて写実的な作品を残しましたが、彼の視線は単にものの表面にとどまるのではなくそれを通り抜けて、存在することの神秘に迫ろうとしています。描かれた作品は、不思議な非現実感を湛えています。

山口長男(たけお)(1902−1983)は、日本の抽象絵画の先駆者の一人として知られています。戦前戦後を通じ、国際的な美術の動向に目をうばわれることなく、独自の画境を深めていきました。厚く塗り重ねられた絵の具の質感と象形文字を連想させるおおらかな形態が彼の作品の特徴です。


関根正二 「姉 弟」 1918年
関根正二 「姉 弟」 1918年
力ンヴァス・油絵 80.5×60.5cm


岸田劉生 「静物(白き花瓶と台皿と林檎四個)」 1918年
岸田劉生 「静物(白き花瓶と台皿と林檎四個)」 1918年
力ンヴァス・油絵 44.5×53.0cm


山口長男 「坦」(たん) 1962年
山口長男 「坦」(たん) 1962年
ベニヤ板・油絵 182.7×182.7cm


休館のお知らせ

館内空調設備の全面的な工事のため長期にわたり休館いたします。

皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご協力とご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

1999年10月18日〜2000年7月19日(予定)


お問い合わせ:福島県立美術館 024(531)5511

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