教育福島0225号(2000年(H11)2・3月号)-040/52page
教育事務所発
〈わたしの学校・ぼくらの活動〉
南会津教育事務所
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郷土芸能の伝承 〜3年生から1、2年生へ〜
檜枝岐歌舞伎「三番叟」 檜枝岐村立檜枝岐中学校
南会津教育事務所管内では、心豊かでたくましい児童生徒の育成をめざし、様々な取り組みがなされています。その中から、地域に根ざした活動の実践例を紹介します。
雪中ギャザリング 伊南村教育委員会
「杉の木はやっぱり杉の香りがする。だから人間も、人間くさく人間らしく生きるのだ……」ある少女の詩の一節です。
制約が多く忙しい現代社会の中で、人間らしく、自然に生きることは非常に難しいことですが、大切なことであると思われます。
伊南村教育委員会では、平成四年から、毎年春休みを利用して、小学四年生から中学三年生までの子供たちを対象に、四泊五日の雪中キャンプを実施しています。題して「雪中ギャザリング」。
昨年は大阪、東京、静岡の子供たちも参加し、伊南村の子供たちと生活をともにし、交流を深めました。
三月下旬とはいえ、雪が数メートルも残る、標高約千メートルの山の中での生活は決して楽なものではありません。ここには、電気もガスも水道もありません。あるものといえば、雪・樹・星・太陽・友そして静かな時間だけです。そんな本当の自然の中でこそ、子供が本来持っている自然の力が発揮されるものと考えます。
五日間の山小屋の生活はシンプルでわかりやすいものです。寒ければ火を燃やす。おなかがすけば薪ストーブで食事を作る。天気がよければ雪と戯れ思いっきり遊ぶ。暗くなればランプをつける。眠くなれば寝袋に入って寝る。自然の流れに逆らうことなく、生活していきます。
ここでの生活は基本的に子供任せです。自分たちで話し合い、計画を立て、困ったことがあれば相談し、工夫して、自分たちで解決していきます。初めから大人が結論を出したり、子供を管理したり方向付けたりすることは、このキャンプでは皆無です。
五日間の山での生活が終って下山するときの子供たちの顔は、「すす」と「雪焼け」と「自信」に満ちたすばらしい表情をしています。
人も自然の流れの中で生きること、そしてその中で生きるすべを学んでいくことこそ、人間らしく生きることだと思われます。
杉の香りに負けないくらい香る、そんな人間くさい人が一人でも増えることを願って、今年も三月二十六日から三十日まで、「雪中ギャザリング二〇〇〇」を行います。