教育福島0225号(2000年(H11)2・3月号)-040/52page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

教育事務所発

〈わたしの学校・ぼくらの活動〉

南会津教育事務所
〒967−0004 南会津郡田島町大字田島字根小屋甲4277−1
TEL (0241)62−5255(代)
FAX (0241)62−5254

檜枝岐歌舞伎「三番叟」
郷土芸能の伝承 〜3年生から1、2年生へ〜
檜枝岐歌舞伎「三番叟」 檜枝岐村立檜枝岐中学校


南会津教育事務所管内では、心豊かでたくましい児童生徒の育成をめざし、様々な取り組みがなされています。その中から、地域に根ざした活動の実践例を紹介します。


雪中ギャザリング 伊南村教育委員会

「杉の木はやっぱり杉の香りがする。だから人間も、人間くさく人間らしく生きるのだ……」ある少女の詩の一節です。

制約が多く忙しい現代社会の中で、人間らしく、自然に生きることは非常に難しいことですが、大切なことであると思われます。

伊南村教育委員会では、平成四年から、毎年春休みを利用して、小学四年生から中学三年生までの子供たちを対象に、四泊五日の雪中キャンプを実施しています。題して「雪中ギャザリング」。

昨年は大阪、東京、静岡の子供たちも参加し、伊南村の子供たちと生活をともにし、交流を深めました。

三月下旬とはいえ、雪が数メートルも残る、標高約千メートルの山の中での生活は決して楽なものではありません。ここには、電気もガスも水道もありません。あるものといえば、雪・樹・星・太陽・友そして静かな時間だけです。そんな本当の自然の中でこそ、子供が本来持っている自然の力が発揮されるものと考えます。

五日間の山小屋の生活はシンプルでわかりやすいものです。寒ければ火を燃やす。おなかがすけば薪ストーブで食事を作る。天気がよければ雪と戯れ思いっきり遊ぶ。暗くなればランプをつける。眠くなれば寝袋に入って寝る。自然の流れに逆らうことなく、生活していきます。

ここでの生活は基本的に子供任せです。自分たちで話し合い、計画を立て、困ったことがあれば相談し、工夫して、自分たちで解決していきます。初めから大人が結論を出したり、子供を管理したり方向付けたりすることは、このキャンプでは皆無です。

五日間の山での生活が終って下山するときの子供たちの顔は、「すす」と「雪焼け」と「自信」に満ちたすばらしい表情をしています。

人も自然の流れの中で生きること、そしてその中で生きるすべを学んでいくことこそ、人間らしく生きることだと思われます。

杉の香りに負けないくらい香る、そんな人間くさい人が一人でも増えることを願って、今年も三月二十六日から三十日まで、「雪中ギャザリング二〇〇〇」を行います。

雪中ギャザリング


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。