教育福島0225号(2000年(H11)2・3月号)-041/52page

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伝統を受け継いで

―地区子供会活動―

田島町立荒海小学校

糸沢地区子供会は、昭和五十年から現在に至るまでの二十四年間にわたって、会津鉄道・七ケ岳登山口駅構内やその周辺の清掃を月二回(第一・第三日曜の朝八時から一時間程度)実施しています。無人駅が心ない乗降者の捨てるゴミやタバコの吸い殼で汚されることに心を痛めた数人の子供たちの善行がきっかけになったと伝えられています。

奉仕活動の輪が広がりを見せ、保護者も協力するようになり、代々受け継がれてきました。上級生はガラス拭きや掃き掃除を、下級生はゴミ拾いや草むしりをというように、いつの間にか分担ができ、協力して二週間分の汚れをきれいにしていきます。最近では、国道の空き缶や菓子袋のポイ捨てにも目を向け、駅清掃の行き帰りを利用してゴミ拾いをするなど、活動の範囲を広げています。

こうした地道な活動が認められ、昭和五十七年の旧国鉄からの感謝状をはじめとして、関係機関から計四回、功労表彰を受けています。平成十年五月には、日本善行会より青少年善行全国表彰も受賞しました。

月二回の奉仕活動を二十年以上にわたって続けてこれたことは、地域の教育力の高さを物語るものだと思います。それ以上に伝統を引き継ぐことの重さ、すばらしさを感じます。

現在、荒海小学校には八地区の子供会がありますが、糸沢地区の活動が他地区にも波及し、それぞれの地区において、子供中心に、様々な活動が展開されています。

地区子供会活動


生徒一人一人に生きる力を育む郷土学習

只見町立只見中学校

南会津郡西部の経済・文化の中心地として長い伝統をもつ只見町の北西に、本校はあります。

今年度、本校では、郷土「只見」から自分の生き方を学ぶというねらいをもって、「生きる力学習」と名づけた郷土学習に取り組んでいます。この学習は、生徒自らが郷土に関する課題づくりをし、地域や地域の人々に取材しながら学習を進め、その成果を発表するものです。今年度は創意の時間に十六時間を位置づけ、全教職員が分担して指導にあたってきました。

ご指導いただいた地域の方々を招いての発表会では、方言を研究した班が只見の昔話を劇にして発表したり、河井継之助の生きざまをパソコンで紹介したり、自作のビデオや模型を使って田子倉発電所を紹介したり、と課題別に編成した二十二班がそれぞれ工夫して学習の成果を発表しました。

清水の特徴をまとめた紙芝居、町の地名の由来を問うクイズ、自然保護を訴えるために作成した実物大のイヌワシ、伝統的な民芸品を紹介する自作の本など、生徒の意欲の現れだと考えています。

次年度は、今年度の実践をさらに発展させ、「IHO学習」(只見の昔の地名伊北(いほう)と異邦の両方の意味をもつもので、郷土に学びながら国際的視野をもつ人間の育成をねらうことを表現したもの)と名称を変え、課題づくりの段階で、「八十里越え」の体験や田子倉発電所の見学、議会の傍聴などの啓発的な体験を加えながら、「総合的な学習」として実施していきたいと考えています。

生きる力学習
只見の宗教をテーマにした班が
町内の住職に取材している様子


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